第百二話
貴志視点に戻ります、まだ二学期も二日目です。
朝の5時、携帯の目覚ましが小さく鳴り響く、目を覚ました俺はまず最初に自分のベッドの中を確認する、里奈は居なかった、さすがに毎日は来ないな、まだ起き上がるにはさすがに早いので小説でも呼んで時間をつぶそうとしたその時、部屋のドアが開き
『 あれっ? お兄ちゃん、今日は一段と早起きなんだね、せっかく里奈がお目覚めのキスをしてあげたかったのに・・・。』
当たり前の様に兄の部屋に入ってきたよこのブラコン妹、そんな里奈もかなり早起きだ、つーか年頃の娘が簡単にキスとかしちゃダメだぞ、ましてや相手が実の兄とかもってのほかだ
『 おはよう里奈、聞きたいけどお前はいつも何時に起きてるんだ? そして俺の部屋に何しに来た! 』
『 朝の5時だよ、お弁当や朝ご飯の準備って結構時間が掛かるんだから、でもお兄ちゃんの為だから里奈は全然平気だもん、ここに来たのはお目覚めのキスをしに来たに決まってるじゃない、ふふふっ♪ 』
・・・健気な妹だな、俺の為の早起きを全く苦にしてない、里奈が俺の妹で本当に良かったよ、でもマッサージもキスもその先もしないからな! デートくらいならしてやるけど・・・
『 別に6時に起きても充分間に合うだろ、なんでわざわざ5時なんだ? 』
『 6時になったらお兄ちゃんも起きちゃうでしょう、そしたらお兄ちゃんの寝顔が見れないじゃない、里奈の1日はお兄ちゃんのカワイイ寝顔を見る事から始まるんだからね♪ 』
いつもの萌え度数MAX100%の笑顔でしれっと言い放つ里奈、それでいいのか妹よ? そんな理由で5時に起きるのか! お兄ちゃんは理解に苦しむよ。
朝食も食べ終え午前7時を少し過ぎた頃、家のインターホンが鳴る、やっぱり来やがったな・・・
『 おはよー貴志、ちゃあんと私が来るのを待っててくれたんだね、ふふっ、それじゃ行こっか♪ 』
玄関のドアを開けた先に居た彩花は奈津美さんにも劣らない優しい微笑みを俺に向ける、その笑顔に不覚にもドキッとさせられる中、ちょうど制服に着替えた里奈もやって来た
『 彩花さん? どうしてウチに・・・、あっ! やっぱり彩花さんもお兄ちゃんと一緒に登校したいんですね、分かりますよー。』
『 もー里奈ったら〜、そんなハッキリと言わないでよ〜、とにかく今日から私も一緒に学校行くからよろしくね、夕奈もココに来るんでしょう。』
彩花の言う通り、彩花がウチに来て二分後に夕奈ちゃんも来た、彩花に気づくと
『 ・・・彩花先輩・・・、おはようございます・・・、多分・・・、こうなると思ってました・・・。』
夕奈ちゃんはこうなる事を分かってたのか? 女の感は侮れないな
『 おはよー夕奈ちゃん、ほらあ、早く行くよ〜、お兄ちゃん♪ 』
4人が揃ったところで家を出る、程なくすると昨日と同じ場所で待ってた奈津美さんに出会う
『 おはようございます皆さん、やっぱり彩花さんも今日から一緒なのですね、ますます朝が賑やかになりそうですわ。』
『 おはよ奈津美、やっぱり私もいないと貴志が寂しがると思ってさー。』
朝いないだけで寂しくなったりしないけど・・・余計な事は言うまい、朝ウチに来た彩花の笑顔に一瞬とはいえ心奪われた俺にとやかく言う資格はないからな
『 あっ・・・。』
『 おう理子、おはよ。』
5人になった俺達の近くを理子が通りかかった、あっ、そういえば! 大事な事を思い出したぞ
『 理子! 今日は工藤は一緒じゃないのか? あいつに話があるんだ!! 』
『 どうしたの急に・・・、恭介なら今日は休むって言ってたよ。』
『 なんでだ! 何か言ってたか、もし知ってたら教えてくれよ!! 』
『 何の事よ!? 恭介の家に行ったら今日は用事があるから休むって言ってただけよ、ねえ、一体何なの! どうしたの青ちゃん。』
理子は何も知らない様だな・・・、しかし工藤の奴、用事って何だ、明日何をするつもりだよ
『 理子、明日は家から出ない方がいい、工藤から誘われても絶対に断れ! 』
『 えっ!? 何言ってんの青ちゃん、いきなりワケが分からないんだけど。』
どうしよっか、説明が難しいな、事情を知らない里奈と夕奈ちゃんはともかく奈津美さんと彩花もうまく対応できなさそうだし
『 とりあえず遅刻するから先に学校に行こう、詳しい話は学校でするよ。』
俺がそう言うと理子は絶対説明してよと言い残し先に学校に向かう、俺達とは行動しにくいのだろう、里奈が敵意を込めたキツい視線を送るから
『 ねえお兄ちゃん、あの女がどうかしたの、あの女にかまうお兄ちゃん、里奈は見たくないよ・・・。』
里奈と夕奈ちゃんは知らなくてもいい事だからな、適当にお茶を濁し俺達も学校に向かう、さて、理子にはどう話したものかな、そして工藤、一体何を企んでるんだよ・・・。
ユニークが25000人、PVに至っては400000近くになりました、皆様のお陰です。