第百一話
今回も真司視点です。
工藤と不良グループの後を付けて向かった先は工藤の家から歩いてすぐのコンビニだった、俺達は見つからない様にビルの陰に隠れてコンビニを見張る、しばらくしたらコンビニから工藤達が出てきた
『 じゃあな工藤、明後日は頼むぜ、あ〜、マジ楽しみだな、女2人も食えるなんてさっ。』
『 分かってる、君達も約束は守ってくれよ、その為にあの2人を差し出すんだからな・・・。』
工藤と不良の1人の会話が聞こえる、あいつ、差し出すって何だ・・・、しかもその女2人って綾子さんとひょっとして前田の事か、あんな奴らに差し出して何のつもりだよ
『 じゃあな恭介、また明日電話すっから。』
コンビニを出た不良グループは工藤と別れそれぞれバラバラに立ち去って行った
『 どうしよっか真兄、もう一回工藤先輩に話をしてみる? 絶対にオカシイよこれ、綾子さん達が危ないかもしれないよ。』
『 工藤から話を聞くのは不可能だな、あの連中の誰かから話を聞いてみよう、一番弱そうな奴を見計らって話を聞くんだ。』
いずみを連れて不良グループで一番背の低い男の後を付ける、高校の制服姿だから目立つけど向こうは俺達を知らないはず、自然にデート中のカップルを装った
『 後を付けてどうするの? あの人の家を知っても何にもならないよ。』
いずみの問いには答えず黙って後を付ける、やがて不良少年の周りには俺達以外誰もいなくなった
『 いずみ、お前はここでジッとしてろ、何があっても絶対に出てくるなよ。』
いずみは不満そうな顔をしてたが女連れで不良と対面したくない、いずみを無理やりその場に残し俺は不良少年に声をかける
『 あのー、ちょっといいですか、少しお話を伺いたいんですけど・・・。』
『 あ〜、誰だよお前! 』
俺から声をかけられた不良はあからさまに機嫌を悪くしたみたいだ、あまり乱暴な事はしたくないけどな
『 さっき俺の友達の工藤君と一緒に居ましたよね、何の話をしてたのか気になっちゃって。』
『 恭介のダチなのか、だとしてもお前には関係ねー、さっさと帰りな。』
・・・やむを得ないかな、実力行使といくか
『 帰るわけにはいかないね、工藤があんた達に差し出すとか言ってた2人って誰の事だよ、あんたが知ってる事をすべて話してもらおうか、嫌だっつっても話してもらうけどな。』
『 やんのかこのガキ! だったら聞き出してみろよ! その前にその口を永遠に塞いでやるけどな!! 』
ガキって・・・、こいつの方がガキっぽいけどな、自分の容姿を気にしてるのか
『 ふーん、俺はいいけどどうなっても知らないぞ、人を見かけで判断するとどうなるのか、その体に教えてやるよ! 』
・・・楽勝だった、一ラウンド30秒でノックアウト、最近の不良ってこんなに弱いのか? 三橋や伊藤、今井や中野を見習えよな
『 つ・・・、つええ・・・、なんなんだお前は・・・、何者だよ・・・。』
『 俺の事はどうでもいい、あんたが知ってる事を全部話してくれるだけでいいんだ、・・・話さなかったら両腕へし折るぞ。』
――――
工藤の野郎! 絶対許さねえ!! 綾子さんや前田の体をあの不良グループに売るとか男のする事じゃねーよ
『 真兄、こうなったら警察に全部話そう、あいつ等全員刑務所にぶち込んでやった方がいいよ! 』
『 まだ何もしてないからそれは無理だよ、それより綾子さんと前田にこの事を話そう、このままじゃあの2人、あいつ等に・・・、くそったれが! 』
俺が倒したチビ不良から聞いた話は工藤の話は全て嘘だったという事、バイクなんて壊してないしあの不良グループとは昔からの親しい友人だったのだ、その上自分の小遣い稼ぎの為だけに綾子さんを騙して働かせて何も知らない前田と共に不良グループに売った、売った理由まではチビ不良も知らないそうだ、ちなみにチビ不良は念入りに脅してグループを辞めさせた
『 許せない!! 絶対に! 綾子さんの気持ちをなんだと思ってるの! これじゃあ綾子さんも前田先輩も可哀相すぎるよ・・・。』
いずみにも話を教えたら非常に強い怒りを示す、お好み焼き屋に着いたら綾子さんは帰った後だった、店員さんに綾子さんの住所やら電話番号を聞こうとしたけどやはり今の世の中、個人情報を赤の他人の俺達に教えてはくれなかった
『 真兄・・・、どうしたらいいかな? このままじゃ綾子さん達・・・。』
『 さっきの話じゃ計画は明後日に予定してるらしい、明日学校で前田に話すよ、今日はもう帰ろう。』
その後はいつも通りにいずみの家で夕飯をご馳走になり自分の家に帰る、帰宅時も考える事は絶対に明後日の計画を阻止してやる事、俺の頭の中はその事でいっぱいだった。