第百話
まさか百話まで続くとは・・・、話の進展が遅いだけなんですけどね、読んでくれている人達にも厚く感謝してます。
今日は始業式だけだから学校は昼まで、教室まで迎えに来てくれたいずみと共に下校する
『 真兄、今日はこれからどうしよっか、どっか遊びに行く? 』
『 そうしたいけど今から工藤んチに行くつもりなんだ、だからいずみは先に帰っててもいーぞ。』
工藤の住所は事前に工藤の担任から聞いている、鉄道警察隊に入ろうとする俺にとっては当然の下準備だ
『 綾子さんの件ね、だったら私も行くよ、私も工藤先輩には一言言ってやりたいんだから! 』
言い出したら聞かないからな・・・、あまりいずみを関わらせたくないけど
『 じゃあ行くか、デートはその後でな。』
こうしていずみと2人で工藤の家に行く事になった、あいつが俺達に素直に話をするとは思えないけど何もしないよりはマシだろう、せめて自分の為に必死に働いてる綾子さんをどう思ってるか知りたかった。
頭の中でさす○い刑事旅情編のメインテーマ ( 第3シリーズからのやつ ) を流してるといつしか工藤の家に着いていた、かなり立派な家だ、あいつって金持ちなのか、じゃあなんで綾子さんを働かせてるんだ?
『 へぇー、随分と豪勢な家ねー、真兄の家より大きいんじゃない? 』
『 そうだな、どうりで工藤って変にプライドが高いワケだ、多分甘やかされて育ったんだろうな。』
とりあえず家のチャイムを鳴らしてみる、少しするといかにもセレブといった感じの女の人が出てきた
『 お待たせしてすみません、どちら様でしょう。』
俺達は工藤の友人と偽り挨拶する、この人は工藤の母親で工藤の所在を聞くとまだ学校から帰ってきてないとの事、だったら出直そうかとしたその時
『 なんで君達がここに居るんだ!! とっとと帰ってくれ、目障りなんだ! 』
丁度工藤が帰ってきた、前田はいなく工藤1人だ、俺達への暴言に母親はさすがに息子を叱る
『 恭介! せっかく尋ねてきた友人になんて事言うの!! 早く謝りなさい!』
『 嫌だね、だいたい友人じゃないし! それよりも母さん、もしかしてこの人達を俺の部屋に上げたりとかしてないだろうな!! 』
何を慌ててるんだ? 部屋になんかあるのか
『 今来たばかりでまだ家に上げてないわ、それがどうかしたの? 』
母親がそう言うと工藤はなんでもないと母親を制しますます語気を強めて俺達を追い出そうとする
『 早く帰れ! 君達が何を企んでるのか知らないが人の家にまで押しかけるとかワケが分からないな!! 二度と来るなよ! 』
予想通りな展開だな、母親もいるしここは大人しく引いておくか、だがいずみが黙ってなかった
『 アンタさっ! こんな大きな家に住んでるのになんで綾子さんを働かせてるのよ!! 綾子さん、アンタの為に年齢をごまかしてまで働いてたの知らないの!! 男なら自分の不始末ぐらい自分でなんとかしなさいよねっ!! 』
言ってしまったか・・・、母親も何がなんだか分からないといった感じだな、いずみに怒涛の勢いで綾子さんの事を言われた工藤は全く悪びれずに言い返す
『 綾子に会ったんだな、君達には全く関係ないだろう、これ以上この件に関わらないでもらいたいな。』
まだ怒りの収まらないいずみを強引に抑え母親に会釈してこの場から離れる、少し歩くとやたらとガラの悪い男達にすれ違う、何やら妙な予感がしたので彼らの行く先を見てたら案の定、工藤の家に入っていった、あの連中が工藤がバイクを壊したとかいう年上の不良グループの様だな
『 あれが工藤先輩を脅してる人達よね、なんで警察に言わないんだろう? 』
『 工藤にもバイクを壊したっていう負い目があるからな・・・、警察に言ったらただじゃ済まないとか言って脅したんだろう。』
いずみと物陰に隠れながら工藤の家の様子を窺う俺達はまるで刑事みたいだ、尊敬する香取刑事に一歩近づけた様な気がする、そんな自己満足に浸ってると工藤の家からあの連中と工藤が一緒に出てきた、しかし何か変だな、会話とか聞こえないがやけに仲がよさそうなのだ、俺達のグループみたいに
『 随分と仲良さそうだよね、本当に脅されたりしてるのかしら? 』
いずみも俺と同じ疑問を感じていた、さすが西園寺刑事に似ているだけあるな
『 いずみ、悪いけど今日のデートは中止でいいか? 今からあいつ等の後を付けてみようと思うんだ、だから先に帰って・・・。』
『 私なら帰らないわよ、私も凄く気になってきたからさ、今日は真兄にとことんまで付き合うよ。』
やる気マンマンないずみと一緒に工藤達の後を付ける事になった、工藤のあの態度がいやに気になる、おかしな事にならなきゃいいけど・・・。
平成生まれの高校生でさす○い刑事旅情編を知ってる人なんていないでしょうね・・・、自分が好きなだけのドラマなんですけど。