お前みたい、必ず飛ぶ!
都市の中でやられた怪獣の最後の咆哮が静かになり、歓声が盛り上がった。この都市の平和と秩序を守っているのは、高校生の龍馬という。超能力に恵まれ、町の皆に愛されている。翌日、陽光を浴びている学園の中で、いつもどおり四方八方に蜂に囲まれたお花のように龍馬は、女性に慕われている。女性の人だかりの中に誰よりも優しくて、花火のように明るい性格と微笑みを持つ女子高校生の翠がいる。
「翼……翼……」友人の武が声をかけてきた。「高嶺の花をまだ望んでいるね」それを言い、私の肩に手を置いた。私はずり落ちたメガネを元に直し、何も言わずに龍馬と翠ちゃんの初対面を睨み続けた。翠ちゃんの肩越しに、偶然に私と龍馬の目が合った。龍馬は眉を上げ、にゃにゃっと笑った。侮っているのか?
学校のチャイムが鳴り、生徒全員が解散した。従業の間、私は龍馬と立ち向かう方法がないかと考え込んだものの、何も思いつけなかった。龍馬は何回も怪獣の事件から、この都市を救った。だから、私は龍馬が嫌いというわけではない。むしろ、いいやつだと思う。しかし、恋愛に関しては別の話。
そのやつが超能力を持っているから私は身体的な競争に勝てるはずがない。知的な立ち合いで勝利する可能性があるが、龍馬の点数順位は一位であり、私の点数との差がはるかに遠い。どうやって翠ちゃんの目を引けばいいかと音楽部室に向かう私は思った。私なんて、何をしてみても龍馬にかなわないのか?
ゴトゴト、ゴツゴツと地面が激しく揺れ、割れ始めた。足のバランスが奪われて、私は地面に叩きつけられた。学校のグラウンドはバキッバキッとひび割れが走り、大きな穴が開いた。次の瞬間、火山が生まれたかのように巨大なものが地面から勢いよく出た。岩と土があちこちに飛び、岩一つが私のほうへ早く迫ってきた。すかさず、私は体を回転させ、岩の衝撃をぎりぎり避けた。
ゴおおおぉぉぉー!
恐ろしい咆哮が穏やかな空気を引き裂いて、都市に響き渡る。大きな竜のような怪獣が学校の中にそびえ立っていた。竜の背中にあるデカい翼が広がった。竜の影に覆われた私は、慌てて後ろへ後ずさった。見上げると濃い真っ黄色の目が私の目と合った。おっかない目つきで見下ろされている。
校舎から人々の悲鳴が上がった。怪獣は口を開け、口の中に溜まっている炎を吐くかと思いきゃ、顎の下から何かが口を閉めさせ、首で怪獣を引き倒した。……龍馬だ。
突然、火山が噴火したかのようにグラウンドから大きな火の玉が空へ飛び、空中で爆発した。空から学園に火が急速に落ちてきた。まるで冥界にいるようだ。焚火になった校舎から悲鳴を上げた生徒が慌てふためく避難し、ここじゃない場所へ逃げた。
キヤヤャャャー!
近くにある燃えているビルから叫び声が、困惑した私の耳に入ってきた。ヤバい!消防士か、誰かが来るだろう?私は龍馬と怪獣との戦いへ顔を向けた。空を飛んでいる龍馬は怪獣の攻撃を身をかわしていたが、見逃した一発に強く墜落させられた。嘘だろう……。キヤヤャャャー!燃え上っているビルを呆然と見つめた。恐怖に私の背筋が凍った。怖い……怖いけど俺しかいない!
心の強い鼓動を感じながら、どんどん崩れているビルに入り込む。入ったとたんに炎の激しい熱さに襲われ、立ち上がった煙で息が苦しくなった。ビルの梁が天井を突き破ってドンッと落ちてきた。黒煙は空間に吸い込まれたように天井の穴に噴きあがった。私は火花の熱から腕で顔を守りながら、階段を登った。悲鳴は3階にあるようだ。
上がれば上がるほどビルの被害が悪くなった。3階の黒くなった廊下は、今にも崩れ落ちそうだ。部屋のドアにたどり着いたら、……ドッドン!地震が起きたかのように校舎が激しく揺れた。ビルが崩れ始めて、私はうろたえた。目の前で壁が崩壊され、部屋の半分が破れて、粉々に砕かれた。
立ち上がったほこりが落ち着いたら、私の目に映ったのは、怪獣を連続に殴りつけている龍馬だ。キヤヤャャャー!右に視線を向けたら、崖のような形になった部屋の端に、両手で必死にぶら下がっている翠ちゃんを見た。私はさっそく翠ちゃんの手を掴み、全力で引き上げた。足元で床がパキッパキッと折り始めたが、完全に折る前に翠ちゃんを床に引っ張った。
翠ちゃんはちょっとの隙間で苦しく呼吸して、「助けてくれて、ありがとッキャー!」と言おうとしたが、崩れた天井で階段が急に詰まり、逃げ場がなくなった。考える暇もなく、私は翠ちゃんの手を取り、まだ崩れていない壁に走り出した。
どうすればいい?このたいまつになった校舎で助けを待つわけにはいかない。翠ちゃんを近くに引っ張り、全速力で向こうにある窓の外へ飛んだ。その時、時間が遅くなったような気がした。翠ちゃんを強く抱きしめ、地面に落ちる衝動から翠ちゃんを守るために私は体を下に向けた。何よりも翠ちゃんさえ生きていたら幸せだ。翠ちゃんの暖かさを抱くのを何回も、自分の部屋で想像した。その夢はこの状況でやっと叶うとは……だけど、それでもいいんだ。
硬い地面に打ち付けられると思った瞬間、急に私の体が宙に止まった。
「犠牲になるつもりか?」
瞑った目を開いたら龍馬の笑い顔があった。龍馬は、翠ちゃんを抱きしめた私を姫様抱っこしている。地面に着いたら私たちを降ろした。
「危なかったな。二人は無事でよかった」と龍馬は言い、純粋な微笑みを作った。
私は龍馬の後ろに視線を移動した。そこにあるのは、やられた怪獣の遺体だ。よく見れば、今まで現れた怪獣にしては身長が低い気がする。その小さな怪獣でも、これほどの障害を与えるんだ。私はもう一度、龍馬の表面をよく見た。今朝と同じ笑いだった。
「助けてくれて、ありがとうございます」礼儀を言って、お辞儀した。
「ありがとうございます」翠ちゃんもそのとおり。
「いやいや、怪獣を倒せるやつは、俺しかないからしょがないだろう。大したことなんだ」龍馬は片手を頭の後ろに当てた。「もうすぐ救急車が来ると思う。ここで待つ?」
龍馬がそう聞いて、私は「大丈夫です。足は大丈夫なので、今から帰ります」と言った。実は足がすごく痛かったが、翠ちゃんの前で弱くにみえたくないことだし、力が完全に奪われる前に早く帰りたい。龍馬にまたお辞儀し、翠ちゃんに「失礼します」と言ってお辞儀した。その後、残った半分の学問へ歩き始めた。
「小林さんは?家に持って行ってあげるよ」後ろから、龍馬の言葉が私の耳に入り込んだら、急に痛みが私の体を走って、私は倒れそうになった。地面に叩きつけられると思った。しかし、誰かが支えてくれた。左に見たら、翠ちゃんだった。私は本当に生きているのか?
「申し訳ないんですが、この方を家まで連れて参ります」翠ちゃんは片手で私の腰に当てて、私の左腕で自分の首を巻いた。私を支えたまま一緒に歩き始めた。「あの、お名前は聞いてもいいですか?」
前の出来事よりも、非常に強い恐怖で背筋に寒気が走った。「あ、あの……翼です」
「素敵な名前ですね」
私は後ろに振り返した。いたのは腕を組んでおり、二かッと笑っている龍馬だった。




