第7話
はじめまして、こんばんは。
ぼくはクラレット。
ウィスタリア聖教国、第三騎士団の団長を務めています。
ありがたいことに、「ウィスタリアの剣」なんて二つ名まで頂いているけれど、正直なところ、少し大げさだと思っています。
第三騎士団は、魔物討伐専門の部隊です。
ぼくの実力が認められたことをきっかけに創設されました。
・・・・・でも、ぼくが賛成した理由は別にあるのです。
それは、ホワイトやラベンダーを、危険な任務から遠ざけたかったということ。
――これは、内緒だけどね。
ホワイトもラベンダーも、ぼくの大切な幼なじみ。
昔から、ラベンダーはホワイトに想いを寄せている。
だから、ぼくなりに二人の仲がうまくいくよう気を使ってきたつもり。
でも、肝心のホワイトは恋愛ごとにまるで鈍い。
「幼なじみ」の関係って、難しいな。
実は、ぼくにも指導者がいます。
人かどうかも分からない存在だけど。
いつも全身をローブで覆い、認識阻害の魔法で存在感を極限まで落としている。
最初は、ぼくにしか見えないのかと思ったほど。
その人の名はホーネット。
ただ、いまは「ホーネント」と呼んでくれと言われています。
変わった人だ。
でも、その人のおかげで、ぼくは中央平原でも指折りの強者になれたんです。
だからゴールド王国からの打診を受けたとき、正直、心が揺れました。
黄金の「精強六武威」。
英雄譚の中だけの存在だと思っていた称号。
ゴールデア女王陛下自ら、その席に就かないかと言ってくださった。
そしてぼくは、名誉のためじゃなく。
ぼくが強くなることで、大切な幼なじみたちを守れるならと思い、
「・・・・・お受けします」
そう決めたんだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「それでいいのですよ。良く決断しましたね」
夜、誰もいない訓練場で、ホーネントが静かに言った。
「あなたは、守るために剣を振るう人です」
「・・・・・はい」
「ただし覚えておいて欲しいの」
ローブの奥から、温かい視線が向けられる。
「わたしがあなたに指導を施したのはあなた自身を守りたかったから、ということを」
「そして、わたくしたちが探し求めていた方かもしれない、ということを・・・・・」
「・・・どういう意味ですか?」
「いずれ分かる時が来ましょう」
そう言い残し、ホーネントは闇に溶けた。
闇に消える直前、独りつぶやく。
「・・・・クラレットの魂にも、魔力が流れ込んでいる?一体どこから」




