エピローグ 創造神の懺悔 ――魂の真実――
エクレアでございます。
今から言うことはわたくしのご主人様へのざんげだと思って聞いていただきたいのです。
そもそも、ご主人様にお仕えするわたくしども5人は、この世界とは別の次元の世界からやってきたのです。
もちろん、ご主人様もその次元の世界におりました。
そしてある事情によりその次元の世界からご主人様を連れだすことになったのです。
それは元の世界からご主人様の魂を守るためでした。
ご主人様の魂は大変弱っており、魂に合う世界がどのようなものかわからなかったため、わたくしども5人はこの次元の中で世界をいくつか創造したのです。
そしてこの世界はわたくしエクレアが創造しました。
創造神エクレアーナと呼ばれているのはそのためです。
当初、この次元には何もありませんでした。なにも、です。
親愛なるご主人様が安らかに過ごせるように、生物が住める環境を一から創造したのです。
まず、星を造り、太陽を造り、大陸を造り、水を生み出し、火を生み出し、山や川を生み出し。
そうやってご主人様をお迎えする準備をし、ご主人様をこちらの次元にお迎えしようとした際、予想外のことが起きてしまいました。
それは、ご主人様の魂が次元の境界の抵抗に耐えられず魂に宿る魔力が暴走し、わたくしどもの手からご主人様の魂が離れたのです。
そのうえ、一種の認識阻害の魔法がご主人様の魂にかかってしまい、魂がどこにいるかわからなくなるという事態にまで陥ってしまいました。
そこから人族の時間でとても長い間、わたくしどもはご主人様の魂を探し続けてきたのです。
創造した世界がいくつもあり、どの世界にご主人様の魂が再生転生したのかもつかめずにわたくしどもは長い間、ご主人様の魂を必死で探し続けることになったのです。
それでも、わずかな手がかりすらなく、魂を感知することもありませんでした。
まるでご主人様がわたくしどもに見つかるのを嫌がっているかのよう。
何度かご主人様が人族として生活している場面を発見したことがありますが、すぐに私どもから逃れるように死んでしまい、魂はその居場所を消すのです。
そして、ようやく。
ようやく、この世界でご主人様の魂を探知するに至ったのです。
ところが、ご主人様の魂を探知し探してみますと驚くことにご主人様の魂であるという反応を示すものが3つもあるではありませんか。
困ったわたくしどもはその3つの魂それぞれにお仕えすることに決めました。
なにせ、とても長い間、ご主人様の魂を探し続けてきて、せっかくつかんだ手掛かりなのですから。
その3つの魂というのがクラレットであり、ラベンダーであり、パウダーだったのです。
ところが本当のご主人様はその誰でもなかった・・・・・・・・・・・・
ご主人様の魂に宿る魔力が暴走した結果、自分自身は何もない魂と認識させ、先ほどの3名の魂にはご主人様であるかのような認識阻害の魔法がかかったようなのです。
さらに言うとご主人様の魂は、常時、魔力が暴走をしている状態なので魔法が使えない状態になっていたのでした。
このような状態で、最初にわたくしどもが違和感を感じたのはご主人様が自爆用の魔道具で自爆をしたときでした。
あれでご主人様の身体には深刻なダメージが残りましたが同時に魂にもダメージがあり暴走が弱まったのです。
そのため魂の暴走による認識阻害の魔法がここから解け始めたのです。
あのとき、身代わりの効果をもつペンダントにより命は助かったものの身体への影響が強く残りました。
ちなみにこの身代わりの効果をもつペンダントは命を助けるとともにその場所からある程度離れたところへ転移する効果もあったのです。
その結果、ご主人様はウェッジの村近くの静かな場所に転移しました。
その近くに待機していた六武威のナイルはご主人様の魂にかかっている認識阻害の魔法が解けそうになっていることに気付き、本当のご主人様の可能性が出てきたことが分かったので、何気ない風を装いご主人様の看病と治療を施したのでした。
しかし、いまだご主人様かどうか半信半疑の状態であったナイルは、ご主人様の頼みを断り切れず人族にとっては危険なものである禁断の力、「魔法剣」を伝えたのです。
私どもが気づき始めたきっかけはアリザリンが召喚した邪神を倒すためにご主人様が「魔法剣」を使ったときでした。
「魔法剣」は人族がつかうと生命力を削ると言われていますが、本当は魂に宿る魔力を使っているのです。
ご主人様は魂が常時、暴走している状態だったので、逆に魂に宿る魔力を使うことで暴走する力が減っていったのでした。
暴走による認識阻害の魔法の効力が薄れていくにつれ、私どもは3人の候補者のうち、だれもご主人様の魂でないことがわかってきたのです。
ご主人様が何度か「魔法剣」を使ってくださったおかげで探し当てることができたようなもの。
しかし、そのためにご主人様の寿命が減ってしまったということなのです。
ご主人様がアリザリンの召喚した邪神との戦いで「魔法剣」を使ったときに、パウダーがご主人様の魂でないことがわかりました。
次に、クラレットと共闘してメイズと引き分けるまで「魔法剣」で戦ったときにクラレットがご主人様の魂でないことがわかりました。
最後にご主人様が「魔法剣」でメイズと戦ったときにやっとラベンダーでもないことが分かったのでございます。
ここに魂に宿る魔力がつき、ようやくご主人様の魂の暴走がおさまり、晴れてわたくしどもはホワイト様がご主人様であることに気づけたのでございます。
神としての力を持っていても、本当に大事な方1人を守ることができなかった。
これが本当の真実なのです。
僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です2~またクビになったけど、幼なじみが慰めてくれるので悲しくなんてない!!だけど幼なじみのファンがいやがらせをしてくる~
おわり
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。本作はシリーズ第2作となります。
この物語は、「勇者が魔王を倒す話」でも、「世界が救われる話」でもありません。
誰にも見つけてもらえなかった一人の少年が、それでも誰かのために生きようとした物語です。
ホワイトは、特別な力を持っていません。選ばれた存在でもありません。称号も、祝福も、理解者も、ほとんど与えられませんでした。
それでも彼は、誰かの役に立ちたいと願い、誰かを守ろうとして戦い、そして最後まで、その姿勢を捨てませんでした。
彼が使った「魔法剣」は、力を与える代わりに、命を削る禁断の技でした。それは、彼自身の生き方そのものだったのかもしれません。
この世界には、英雄と呼ばれる人たちがいます。歴史に名を残す人たちがいます。
けれど、物語の中心にいるのは、必ずしも英雄ではない――そういう話を書きたかったのです。
ラストで語られた「500年後」とは、シリーズ第1作目のことで、すでに語られているのです。
彼が再び生まれ、彼女たちが再び仕える日々。
その話の続きは、シリーズ第3作目で語ろうと思います。
もしよろしければ、その物語も覗いていただけたら嬉しいです。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
なお、シリーズ第3作目は明日から夜10時毎日1話ずつの連載です。




