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本編外4   六武威の再編(記録)

――以下は、神聖ゴールド聖教国成立前後の「内政記録」を、後世の編纂官がまとめた年表形式の抜粋である。


『聖教六武威 再編記録 抄』


一、前提:教皇失墜と権限移譲


龍族の長にして聖教会教皇は、創造神エクレアーナにより裁かれた――とされる。


同時に、聖教会の権限はゴールデア女王へ移譲され、国号は「神聖ゴールド聖教国」へ改められた。


これに伴い、従来の称号「精強六武威」は「聖教六武威」へ改称された。


二、筆頭問題


改称直後、龍族マホガニーが筆頭の座を求めた。


当時、六武威は名目上「六」だが、実数としては欠員があり、構成は流動的だった。


ゆえに筆頭の名は、象徴であり政治的意味を帯びた。


ゴールデア女王と大宰相ホーネントは、これを退けた。


「筆頭に相応しいのは龍族ナイルである」


これに対し、マホガニーは異議を唱えた。


ナイルは長年、末席にいたためである。


しかし、これは周知されていない任務の裏返しであった。


三、ナイルの任務(非公開事項)


龍族ナイルは、創造神の命を受けて長期の監察任務に従事していた。


教皇の動静監視


各地の観察と報告


異変の芽の早期摘出


“ご主人様”探索に関わる周辺監視(※詳細秘匿)


この任務は「存在しなかったもの」として扱われ、公式記録には残らない。


そのため末席と誤解されていたが、実態は逆である。


ナイルの力量は、魔王カーマイン、メイズ、教皇すら及ばぬとされる。


(史料の表現は抑制的だが、当時の関係者の証言は一致している)


四、筆頭決定戦


マホガニーの不満は、形式上「勝負」により処理された。


ナイルは軽い口調でこれを受けたとされる。


「それほど不満なら、勝負をしましょう。マホガニーちゃんが勝てば筆頭を譲るわ」


結果は数分で決着。


ナイルの圧勝であった。


この戦いは、六武威の序列を力で裏付け、以後の混乱を抑える効果を持った。


敗北したマホガニーは修行の旅へ出たと記録される。


「くっ。せめて、ちゃん付けを止めさせねばわれの気がすまぬわ!」


五、再編の意義


この再編により、神聖ゴールド聖教国の軍事的象徴は再固定された。


同時に、大宰相ホーネントの政務と女王の統治が安定し、国は黄金期へ向かった。


特筆すべきは、国家運営の理念が「種族会議」「法の下の平等」「能力と忠誠による登用」に寄った点である。


多種族国家としての統治の完成は、この時期に骨格が定まった。


付記:ゴールデア女王の長命


ゴールデア女王は在位が長期に及ぶにもかかわらず老いを見せず、「創造神の使徒となったのではないか」と噂された。


女王は噂を肯定も否定もしなかった。


この沈黙は、国家の求心力として機能した――と編纂官は注記している。


――六武威再編以後、神聖ゴールド聖教国の影響力は安定期に入る。


この安定は、皮肉にも周辺地域の自立を促した。


ゴールド王国の統治理念――


「法の下の平等」「能力による登用」「多種族協調」は、周辺の小領主や辺境貴族にとって魅力的な模範となった。


特に以下の二つの潮流が、後年の史書に頻出する。


一つは、弱者保護と兵站重視を掲げる領地運営が評価され、やがてシルバー王国として結実していく流れ。


もう一つは、魔法制度とギルド制度を国家規模で統合し、貴族と平民の力関係を再定義しようとする試みであり、これはのちにプラチナ帝国と呼ばれる国家体制へ発展していく。


これらの国々が誕生した背景には、聖教六武威の再編と、それを支えたナイルの長期的な監察と均衡維持があったと考えられている。


ただし――


これらの国々が最終的にどのような運命を辿ったのか。


それをここに記すことはしない。


それは、別の時代、別の物語で語られるべきだからである。


――神聖ゴールド聖教国年代記・終章注釈より。


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