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第3話

砂が、静かに舞っていた。


ここには、ホワイトとメイズしかいない。


ほんの少し前まで、二人は命を削り合う戦いをしていた。


魔力と剣技がぶつかり、雷と炎が交錯し、互いに一歩も退かず――


そして、先に限界を迎えたのは、ホワイトだった。


膝が、崩れる。


傷は致命ではない。


それなのに、身体が動かない。


(ああ)


分かっていた。


魔法剣を使うたびに、魂に宿る何かが、確実に削れていくことを。


それでも、やめなかった。


ラベンダーの背中を見続けた。


追いつきたかった。


足手まといになりたくなかった。


「くそ」


口から血がこぼれる。


それを見て、メイズは剣を下ろした。


「・・・・・もう、終わりだぁ」


嘲りはなかった。

ただ、事実を告げる声。


「あきらめろぉ。お前は、よくやった」


「人族にしては、惜しいほどの魂を持っているぅ」


その言葉に、ホワイトの心の何かが、ぷつりと切れた。


「うるさい」


かすれた声。


「そんなこと・・・・僕が一番、分かってる」


視界が滲む。


それを、メイズは“恐怖”だと勘違いした。


「泣いているのかぁ? 軟弱な」


違う。


怖いからじゃない。


悔しいからだ。


悔しくて、惨めで、どうしようもなくて――


ホワイトは、もう取り繕うのをやめた。


「・・・・生まれてからずっとだ」


「ずっと、蔑まれてきた」


「騎士団に入っても、ラベンダーと仲がいいってだけで嫉妬されて」


「自爆用の魔道具まで、取り付けられたんだ」


声が震える。


「生き残っても、手足は動かなくなって」


「絶望して・・・・でも、ナイルのおかげで、また歩けるようになった」


「それなのに」


「理由もなく、不当な扱いばかり受けてきた」


「功績を上げても、奪われて」


「冤罪まで、押し付けられて・・・・」


息が詰まる。


「それでも」


「それでも、ラベンダーの足手まといにだけは、なりたくなかった」


「だから命を削って、魔法剣を使ったんだ」


涙が、止まらない。


「なのに・・・・それでも、お前を倒せなかった」


拳が、砂を掴む。


「・・・・神がいるなら」


「創造神なんてものが、本当にいるなら・・・・」


声は、ほとんど嗚咽だった。


「文句の一つも、言いたいよ」


言い終えた瞬間、力が抜けた。


もう、何も言えない。


メイズは、黙ってそれを聞いていた。


剣を振るうことも、とどめを刺すこともなく。


まるで――


かつて、自分も同じ場所に立っていたかのような目で。


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