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第3話


どうも~、龍族にして黄金の精強六武威の末席を預かるナイルよん。


初めまして、かしらね。


あたくしは、いま人族のホワイトというものと同行しています。


龍族のあたくしが人族と一緒に行動すること自体とても珍しいこと。


さらに、こうして人前にでることといったらもう、およそ200年ぶり?いや、2000年ぶりよ?


とにかく激レアね。レア。SSRを超えてURよ。


さらに衝撃の新事実――じつは、あたくしは・・・・・・・・・・・・


ジャジャーーン。創造神様の使徒、み使いなのでーーーーす。


・・・・・あ、あれ、あまり驚きの声が上がらない。どれぐらいすごい存在か理解できていないのかしらん??


ま、まあ、いいわ。


あたくしはさる事情によりこちらのホワイトに龍族に伝わる技「魔法剣」を授け使えるようにいたしました。


どうしても強い力を手に入れたいというホワイトの望みをかなえてあげたのよん。


でも人族には強すぎるあまり、生命力が削られていくという代償が存在することも教えたんだけど、どうしてもと言うので、魔法剣を授けちゃいました。


ちなみに、あたくし、一応、六武威の一人ということになっているけど活動はしていませ~ん。


名前だけね。名前、名義貸し、みたいな。


あたくしの本当の役目は、さきほど言った創造神様の使徒として、諜報活動に従事することなの、うふふ。


あ、創造神様の使徒ということは内緒にしておいてね。約束よん!!



さあ、こんな話をしているより、ホワイトがサンドベージュとかいう人物から請け負った仕事を進めましょうねえ。


たしか、勇者ラベンダーのパーティを後方から支えるために不足しがちな物資や回復薬、魔石の補給だったわね。


なんで、あたくしがそんな地味なことを、という気持ちがあるのだけどホワイトが請け負った仕事だしね。


はあ、まったく・・・・・・・


ホワイトがエクレア様をはじめとするわれらのご主人様である可能性が全く無ければこんなことをしなくて済むのにね。


ところで、あのサンドベージュとかいう人族。


あれ、龍族のあたくしの勘でいわせてもらうと、すげーやべー奴よ。


もうストーカーよね。ストーカーを通り越してサイコパスね。


あんなやつに執着されている勇者ちゃんにはほんと気の毒だわ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


その夜。

野営地の隅、誰にも聞かれない場所で。


ナイルが、誰かに頭を下げていた。

普段の砕けた口調は消えている。

背筋が伸び、声も硬い。


「お久しぶりでございます。ホーネット様。クラレットどのの従者の任務、お疲れ様にございます」


暗いローブ。深いフード。

いるだけで“場を支配する”女がそこにいた。


ホーネント――いや、ホーネット。

五人のメイドの一人。

現在は、クラレットの従者として、表に出ている。


ホーネットは挨拶を返さず、用件だけを告げた。


「クラレット殿にかかっている認識阻害の魔法が解けかかっている。あなたも気づいているわね?」


ナイルが頷くのを確認し、


「だからといって、クラレット殿が“ご主人様ではない”と断定はできない」


ナイルが息を呑む。


ホーネットは淡々と続けた。


「問題は、なぜクラレット殿に二重の認識阻害がかかっているのか。一つは“ご主人様と誤認させる”もの。もう一つは“自分を男だと思い込ませる”もの」


沈黙。

風が吹く。

焚き火の音が遠い。


ナイルが、慎重に答えた。


「承知しました。私めは引き続き、ホワイトの監視および従者任務を継続いたします。加えて、クラレット様に魔法がかかっている原因も探ります」


ホーネットは短く言う。


「よろしく」


用件が終わり、ナイルはわずかに肩の力を抜いた。

そして、話題を変えるように訊いた。


「ところで。クマの肝臓の話は、ホーネット様がお調べに?」


「いいえ。クラレット殿ご自身よ」


ホーネットの声に、僅かな温度が入った。

それが何を意味するのか、ナイルは分かっている。


「本当に、あのホワイトという方のお役に立ちたいのね。クラレット殿は」


ナイルは返事をしなかった。

ただ、夜の闇を見つめる。


遠くでは、軍の焚き火が揺れている。

人の声、金属の音、馬のいななき。

――戦が、近い。


ホーネットはその様子を一瞥し、静かに背を向けた。


「夜が明ければ、軍は動くわ」


ナイルは、ほんの一瞬だけ目を伏せた。


「はっ」


ホーネットの姿が闇に溶ける。

残されたナイルは、空を見上げた。


(さて、あの手のかかる坊や、ホワイトのところへもどらないとね)


ナイルは踵を返し、黒い鎧の少年が待つ方へ歩き出した。


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