表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/27

第3話


「え・・・・・・・・・・・」


私ラベンダーはウィスタリア聖教国からの緊急連絡をきいて茫然としてしまった。


私はさきほど勇者の認定式をおえ、そのあとのゴールデア女王陛下からクラレット君がゴールド王国の王子であると言う話を聞き終えたあと、ウィスタリア聖教国からの伝令がやってきて報告を聞いたところでした。


伝令兵がいうにはウィスタリア聖教国に10000をこえる魔物の大群が襲撃し、ウィスタリア聖教国は風前の灯だということでした。


「こうしちゃいられない。すぐにもどって助けに行かないと!!」


私の叫ぶような声を聞き、クラレット君も第三騎士団の面々もうなづく。


そこへゴールデア女王陛下もやってきて、


「同盟国の危機です。こちらの精強六武威も出動させることにしましょう」


「すこし準備に時間がかかりますが、救出に向かうわれらまで死んでしまっては元も子もありません。しっかり準備をしないといけませんよ」


女王陛下の言う通りだとは思いますが、こうしている時間もじれったく感じます。


ああ、こうしている間にも魔物がウィスタリア聖教国を、ううん、ホワイト君を襲っているかと思うと、居ても立ってもいられない。


だけど、わがままを言っちゃいけないわ。


ご厚意で精強六武威の出動を許可してくださったのだもの。


しっかり準備をしてからにしないと。


精強六武威が出動するのであればすこし準備に時間がかかっても確実に魔物の大群を制圧できるでしょう。


私はそう思うことで気持ちを落ち着けることに精一杯でした。ですが、どうしても落ち着きません。


「ああどうか創造神様、ホワイト君を守ってください」


私は祈りをささげずにはいられませんでした。



一日経って。


精強六武威が率いる軍勢も出発の準備を整ったところで、私も第三騎士団もウィスタリア聖教国に戻ろうかかというときにさらなる伝令がもたらされました。


ウィスタリア聖教国からの伝令です。


私は祈るような眼で伝令兵を見つめていました。


ところが伝令兵からはさらに驚くべき報告がなされたのです。


「ウィスタリア聖教国の勝利でございます。みごと魔物の大群を退けましてございます」


それを聞いてその場のみながワァっと歓喜の声をあげました。


だけど、


「ただ、第二騎士団のほうで自爆用の魔道具を使用したものがいるそうでございます。その者は残念ながら・・・・・・」


と言う。


私はその報告を聞いたとき、すごくいやな予感がしました。


そんなはずないという思いと、もしやという気持ちが同時に沸き起こったのです。


だって、自爆用の魔道具なんてそう簡単に入手できるはずないもの。


それに付与魔法をつけたペンダントだって渡しているはずだし。


なのになんでこんな嫌な予感がするのだろう。


私はクラレット君の顔をそっと見る。


クラレット君もまさかという表情をしており顔色が悪そうです。


その後、伝令兵が言った名前をきいて私は意識を失いました。


その名は私が心配していたとおりの名前だったのです。


「ホワイト君」


私はそうつぶやいて気を失ったと後からききました。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


勇者の認定式から半年。


ここはフクシア神教国の片田舎、ウェッジの村。


「空の勇者」


「空の勇者」


「空の勇者」


俺は何度も同じ単語をつぶやいた。


この名前がとても忌々しく感じる。


空の勇者とは半年前、ゴールド王国で認定されたという勇者の称号らしい。


勇者・・・・・・


その名前を聞くだけで人々は希望をもち、多くの人に勇気を与える。


だが・・・・・・・・・実はおれもその勇者だといったら、驚くか?


俺の名はパウダー。


ちょうど2日前に、俺の住むウェッジの村の預言者から、俺こそが「大地の勇者」であると告げられたところなのだ。


このウェッジの村の預言者は古くから村に住んでおり長老をはじめ多くのものから信頼されている。


なんでも「託宣」のスキルというものを持っているらしい。


俺はその預言者から大地の勇者であるといわれたのだ。


それを聞いたときはただただうれしかった。


これで聖教会の連中の鼻を明かせると思ったからだ。


聖教会の連中は自分たちだけが創造神さまを祀る唯一の教会だとうそぶいている。


そんなことはない。


この大地にあまねく光を照らし恵みをもたらす創造神さまが聖教会だけに肩入れするはずがないからだ。


われわれの村を領土にもつフクシア神教国も古来より創造神さまへの信仰をささげてきた国だ。


俺は孤児だが、この村に拾ってもらい育ててもらった恩がある。


大地の勇者となったからにはようやく村のみんなに恩返しができると思うと嬉しく感じる。


じつは俺が村へ恩返しをするために、身体を鍛え戦士になろうと考えていた時に不思議な出会いがあった。


それは果たして出会いといっていいのだろうか。


突然俺の前に黒いローブに身を包んだ男性とも女性とも区別のつかないものが現れ、俺に従者として仕えたいと言って来たのだ。


断ろうとしたのだが、その者は戦士として伸び悩んでいた俺に剣の修行と魔法の修行をつけてくれたのだ。


その者の言う通りにするだけで俺はめきめきと実力をつけていった。


名をシェーラと言うらしい。


挿絵(By みてみん)


本来はシェラというらしいがいまはシェーラと呼んでくれと言われた。


よくわからないが、シェーラの指導は本物だ。


そしてその証として、先日、俺は大地の勇者に認定するという託宣をうけることができたのだと思う。


ちなみにこのシェーラは黒いローブに身を包んで目立たなくするだけでなく、その身に認識阻害の魔法をかけることでさらに存在感をうすくしているらしい。


存在感がなさすぎて、もしや俺にしか見えない幽霊かなにかかと焦ってしまったこともある。


幽霊ではなく実在しているのだが、村のみんなはシェーラの存在を知らないでいる。


一応みなにも紹介をしたのだがほとんど関心を持たれていないようだ。


その後俺はシェーラの希望通り、従者として仕えてもらう事にした。


シェーラは従者としてはどうかはわからないが、指導者としては、俺がどれだけ感謝を述べても足りないほど的確で適切なものばかりだった。


シェーラは、俺に大地の勇者としてしなければいけない目標を明確に示してくれた。


最終目標は、魔王の討伐だという。


世を乱す魔王を討伐することで勇者としても名声も地位も確立するだろうと。


そのために必要なことは、魔王の側近ともいえる魔族を倒すこと。


それを成し遂げるために、信頼できて力のある仲間を集めることが必要である。


そう順序良く丁寧に説いてくれたのだ。


シェーラの説明は実にわかりやすい。


実は俺は人の話を長時間聞くことが堪えられない。何を言っているのかチンプンカンプンだからだ。


しかしシェーラはそんな俺でもわかるように俺が疑問に思うことを先んじて説明してくれた。


おかげで大地の勇者としてなすべきことを理解したと思う。


まずは、信頼できて力のある仲間を集めることだ。


実は、ウェッジの村には俺以外にも孤児だが優秀なものがいる。


その一人がスレートと言って重装備で敵の攻撃を防ぐことが得意だという。いわば盾担当だな。


こいつがいれば俺は敵の攻撃に集中できる。


シェーラはこいつを仲間にしろと言ったのだ。


その助言に従い、スレートに仲間になるかと聞くと喜んで仲間になってくれた。


そして、もう一人。


こいつはウェッジの村のもとからの住人ではないのだが戦力となりそうな奴だ。


こいつの出自は少々あやしい。


名はシャドウという。名前からしてあやしくないか?


半年近く前にウェッジの村へ訪れた者だ。


当時のそいつは身なりもぼろぼろで表情も暗く、足取りもふらふらだった。


というのも手足がほとんど機能しておらず魔力でむりやり動かしているという生きているのか死んでいるのかわからない状態だったのだ。


その様子に村のみなからも気味悪がられていた。


そのうえ、身体や顔の一部にやけどのあとがあり、それを隠すように黒いマスクで顔を隠し黒い鎧で体を覆っていたのだ。


不気味なので本当は仲間に加えたくはないのだが、シャドウは魔法も使え、剣の腕前も見事であり戦力にはなることは間違いなかった。


俺は仕方なくシャドウにも仲間として同行することを求めた。


シャドウはうなづいた。当然だろう。


こうして俺は2人の仲間を従え、ウェッジの村を発つことにした。


もちろんシェーラも存在感を消しつつ俺の従者としてついてくる。


俺はシェーラを入れて3人の同行者を引き連れてウェッジの村を発った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ