表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/19

第11話

僕が少し体を休み始めたそのとき、前線のほうからものすごい衝撃音がきこえた。


ギャシャアアアアアアアアン。


何事かと僕は体を起こし、目を向けると堅固であったはずの城壁の一部が崩れていた。


そこから魔物が侵入をしてきた。


騎士団はそれをみて混乱を起こしそうになっている。


当然だ。


僕たちの戦術は堅固な城壁があって成り立つものだったからだ。


それが無くなれば、非力な人族と凶悪な力を持つ魔物とではすぐに勝敗がついてしまうだろう。


騎士団長ヘリオトロープさまも怒号を発しながら団員たちに指示をだし必死の指揮を続けていた。


僕も休憩をやめ、すぐさま戦闘の準備に入り魔物の近くまで移動しようとした。


魔物を少なくとも城壁の向こう側まで追い落とす必要があると考えたからだ。


ところがそんな大事なときにうしろから「ヒッヒッヒ」といつものいやみな先輩の声が聞こえてきた。


「ざまあないぜ。お前はもう死ぬんだよ。先ほど渡した魔道具はな、普通の魔道具ではないんだ。ラベンダー様を懸想する貴様を抹殺し、かつ魔物の大掃除までできる便利な魔道具なんだよ~~~~」


「ヒッヒッヒ。その魔道具はな。自爆用の魔道具だ。装着した人物の心臓がとまることでスイッチが入り半径1km以上の大爆発をおこすという優れモノだ。ぎゃっはっは~~」


「ちょうど、魔物が大暴れしているんだ。さっさといって殺されてこいや!」



いつものいやみな先輩。


僕を嫌っているんだろうと思っていたけど、殺したいほど憎まれているとは思わなかった。


なんでこれが自爆用の魔道具なんだよ!!


そこまでして僕を殺したいのか。それほど僕が憎いのか・・・・・・・


いやみな先輩がさらに驚くことを言う。


「自爆用魔道具はな。宮殿の上級神官様にお願いして憎きお前を消すために用意してもらったんだよ。おまえは神官様からも憎まれているんだ」


「神官様は喜んで用意してくれたよ」


「われわれの女神であるラベンダー様に馴れ馴れしくするから天罰が当たるのだ」


ラベンダーのファンは宮殿の上層部や神官様の中にたくさんいると聞いたことがある。


だからと言ってわざわざ僕を殺すためにそんなものまで用意するなんて正気の沙汰ではない。


「ふっひひひひひ。一度装着すると魔力のないテメェでは外せないんだよ~~~ン」


そう、僕には魔力がない。


それが余計にコンプレックスだった。


「あきらめて魔物の群れに突撃し、死んで来い!!お前が死んだらこの国は守れるんだからな」


僕はその言葉を聞いて、改めて自分の立場を思い返した。


僕には親もいない。身分もない。将来もない。ただ、剣をふるい、魔物を斬る生活だ。


腹が立つけど、いやみな先輩の言うとおりだ。


どうせ、生きていても目的がないし死ぬのなら魔物の群れに突撃して自爆し魔物どもを道連れにしたほうがいいかもしれない。


そのように考えた時、騎士団長のヘリオトロープ様の怒鳴り声がきこえてきた。


「貴様ーーーー。どういうつもりでこんな真似をしたんだ!!」


といやみな先輩に対して怒鳴っていた。


そして僕のほうへ顔を向ける団長。その顔には焦りが見えた。


「ホワイト。いいからこっちへ来い!!そいつは俺だったら魔力を使って外すことができるはずだ。命令だ!!外してやるから早くこちらへ来い!!」


団長は僕のとりつけた魔道具を外すつもりのよう。


しかし・・・・・・・・


僕が次にとった行動は、騎士団長のヘリオトロープ様にむかって真っすぐに姿勢をただし身体を折り曲げしっかりと頭を下げて挨拶をしたことだ。


僕は団長に、


「ヘリオトロープ団長、お気遣い有難く受け取ります。ですが命令に逆らわせていただきます」


「このホワイトは、団長の命令を無視しますので、本日ただいまをもって第二騎士団をクビにしてください」


「本当にお世話になりました」


もう一度、頭を下げる。


「な・・・・・んだと。おい。何を言ってるんだ。馬鹿なことは言わずに早くこっちにこい」


騎士団長ヘリオトロープ様はそう言うが、命令に従うつもりはない。


自爆用の魔道具をつけたことで僕は死を覚悟した。


このまま魔物の群れに突っ込んでいき、命を捨ててこの国を守ろうと考えたのだ。


ここにラベンダーやクラレットがいなかったことがせめてもの救いか。


ラベンダー。出来たら君ともう一度、話をしたかった。せめて好きだと思いを告げるべきだった。


クラレット。孤児院での勇者ごっこ、たのしかった。僕にとっては大事な思い出だよ。


2人とも幸せになってくれ。


創造神さま、僕は僕の命をつかって国を守りたいです。どうか、ご加護をください。


そう祈って、僕は目の前の魔物の群れに切り込んでいった。



魔物の群れに単身突撃してどれぐらいの時間が経ったろうか。


身体に受けるダメージを無視して、とにかく魔物の密集した場所をさがしながら僕は魔物の群れに斬りこんでゆく。


すでに全身、傷だらけ。


満身創痍の身でどこからそんな力が湧いてくるのか自分でも不思議ほど僕は魔物を斬りさばいていく。


ラベンダーのペンダントが薄く光っている。


(作者に代わってエクレアからの一言メモ)◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ラベンダーが渡したペンダントは能力上昇の魔道具です。


それを身に付けているので満身創痍でも体を動かせるのです。


この魔道具は魔力がなくとも発動するタイプでございます。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 


・・・・・なぜか力がわいてくる。


魔物がつぎにどこを狙ってくるのかが感覚的に感じられる。


わかるので僕はそこをよけて魔物を斬る。


そして次の魔物に狙いを定める。


そのくりかえしで次々に魔物を葬り去っていった。


うしろのほうでは第二騎士団団長ヘリオトロープ様のどなる声が聞こえたような気がする。


しかし、その声は聞かないようにした。


気づけば僕の腕や足、身体いたるところから血が流れている。


もう十分奥に来ただろうか。


僕は一度立ち止まり、周囲の様子をみた。


すると、まえからとんでもない気配と魔力をまとった男があらわれた。


この気配は魔族で間違いない。


そうか、この魔物の大群は目の前にいる魔族が指揮をしていたのか。


僕がこいつを倒せば魔物の大群は指揮者がいなくなり統率が乱れ、制圧しやすくなるだろう。


そう考えていると、魔族の男が話を始めた。


「こわっぱぁ。こんなところまで単身くるとは命がいらないのかぁ。それともただの腕自慢か?もうここは私の本陣だぞぉ」


「私の名は、メイズぅ。創造神さまの忠実なしもべにしてぇ、いまは魔王様に仕える側近であるぅ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ