鏡の向こうの自分
鏡に映る自分を見て、私は悪態をついた。
「すっごいブス」
私は自分の外見にコンプレックスを持っている。
登校中も憂鬱。私の友達は皆綺麗。私はいつも友達より一歩下がって登校してしまう。
休み時間に手鏡を見る。
あれ? 朝見た時のニキビが消えてる。
それから不思議な事が起こった。鏡を見るたびに綺麗になっていくのだ。
毎朝の登校が楽しくなった。友達グループの先頭を歩くようになった。男子が私をチラチラと見ているような気がする。
私には好きな男子がいて、ずっと告白したかった。綺麗になった私は、彼に告白する事にした。
「誰がお前みたいなブスと付き合うんだよ。鏡を見てみろよ」
私は綺麗になっていなかった。
鏡の中の私が綺麗になっていただけだった。
私は泣きながら手鏡を見た。
鏡の向こうの私はにっこり笑っている。
「すっごいブス」
と鏡の中の私が言った。