カードのゴブリン
【96階層】カードのゴブリン
階段を降りた瞬間、妙な気配がした。
見た目はごく普通の階層に見えるが、何か…別の異質な空気──
「あなた、カードの匂いがしますね」
突如、闇の中から声が響いた。
姿を現したのは──ゴブリン。
……いや、ゴブリンなのか? そいつは小汚い小鬼ではなく、立派なローブを纏い、豪奢な指輪をはめ、目つきは異様に鋭い。
「カード……?」
「ええ、とても良い香りがしますよ。どこかでカードを手に入れましたね?」
カード……?
いや、俺はカードなんて──
(……持っていた、かつて)
一瞬、記憶が蘇る。魔法のタロット、魔法の簡易トランプ──
だが、どれも今は手元にはない。だが、このゴブリンには"残り香"のようなものがわかるらしい。
「何か怪しいですね……」
ゴブリンが俺をじっと見つめる。
敵意はないのかもしれないが、全身から滲み出る圧が異様だった。
「私は冒険者カードに目が無いんですよ。特に今欲しいのは、伝説の冒険者チーム──星堕としの探求者たちのカード」
「星堕とし……?」
「魔王すら従えた召喚士、イモーラ──」
ゴブリンが指を鳴らすと、カードが光を放ち、そこから漆黒のローブをまとった女が現れた。
「何っ!?」
「湖をマグマに変えた魔導士、ロゴス──」
続けざまに、もう一枚のカードが閃光を発し、壮年の魔導士が現れる。
「冒険者を融合させる男、ハナゾウ──」
さらにもう一枚。背の低い男が、薄ら笑いを浮かべながら顕現する。
……まずい。
ゴブリンは見せびらかせるようにどんどんカードを実体化させていく。
このままではまずい。
呼び出した冒険者たちへ攻撃を指示されたら、勝つことはできないだろう。
次元の指輪か、地面に溶け込んで移動のスキルがまだあれば、逃げられたかもしれないのだが……
「いったい、どれだけのカードを持っているんだ?」
「このシリーズは19枚ですね。他のカードもお見せしましょうか?」
ゴブリンが喜色をあらわにして、手元のカードを広げる。
──今だ。
俺は「嵐の小瓶」を取り出し、蓋を開けた。
轟音と共に嵐が巻き起こる。
爆発的な風が階層ごと破壊するが、ゴブリンは耐えている。
だが──
一枚のカードが宙を舞った。
「私のカードがぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ゴブリンはカードを追いかけ、吹き飛ばされるようにどこかへ消えていった。
あの嵐に耐える奴がいるとは……
俺は大急ぎで次の階へ駆け込んだ。
・リソース更新
スキル: 激しく踊りながら素早く移動して回避 / タコ殴り / 丸呑み / スキルを奪われし者 / 道草 / くしゃみ / 買い物上手 / 終焉 / いっぱしの冒険者の心 / 水洗トイレ / 最後に行きつくのはとげへの感謝
アイテム: まさひこのネームプレート / 鍵束 / 銀の音楽アルバム / 冒険者アレクセイの記憶 / スキル強化の秘宝 / 炎竜の鱗
装備: バッグ / 耐熱の手袋 / 魔法杖のヴァイオリン / 魔法反射の外套 / 大魔導士の腕輪 / 強者のグラサン / 強欲な盗賊の指輪 / 満たされた盗賊王のブーツ / ヴェルガル族のペンダント / 彷徨う捕食者の指輪




