女剣士の道場
【91階層】女剣士の道場
どれだけの敵を相手にしたことか。
完全に疲れ果て、瀕死の体でやっとのことで階段を下りたはずだった。
しかし──
(……体が軽い?)
気づくと、傷はすっかり癒え、まるで戦いがなかったかのように完全回復している。
そして、目の前に広がるのは──
「……道場?」
広々とした木造の床。静寂が満ちる空間。
その中心に──
おさげの女剣士が、正座して座っていた。
視線を上げることもなく、ただ静かに待っている。
不思議と、この階のルールが頭に流れ込んでくる。
ここではスキルと武器以外は使用不可。
戦いを回避し、そのまま次の階へ進むことも可能。
(回復してもらった上に、戦わずに進める?)
ラッキーとしか言いようがない。
だが──
ここまで正々堂々と勝負を誘われているのだ。
「……逃げるわけにはいかないな」
俺も、楽にここまで進んできたわけじゃない。
決意を固めた瞬間、女剣士がゆっくりと立ち上がる。
その動きは淀みなく、無駄がない。
(こいつは……半端じゃないな)
自分の震えを、武者震いだと信じる。
「……行くぞ」
──戦いが始まった。
激しい打ち合い
剣閃が交差する。
音が消えるほどの研ぎ澄まされた攻防。
幾度も間合いを詰め、避け、斬り込む。
だが──
(……届かない)
どれだけの時間しのぎを削っただろうか。
息が上がる。汗が滴る。
──そして、俺は悟った。
(……勝てない)
女剣士はまだ余力を残している。
敗北を、認めざるを得なかった。
どちらからともなく、動きを止める。
俺は黙って、重騎士の宝剣を女剣士の前に差し出していた。
「……この剣は強者にこそふさわしい」
静かに剣を受け取ると、女剣士は何も言わずに消えた。
──その瞬間、俺のスキルが変化するのを感じた。
スキル、輝く音剣二刀タコ殴り乱舞が、タコ殴りのスキルに戻ってしまった。
(……完敗だな)
だが、敗北が人を強くすることもある。
気を引き締めなおし、俺は次の階へ向かった。
・リソース更新
スキル: 蜘蛛の感覚 / 激しく踊りながら素早く移動して回避 / タコ殴り / 丸呑み / スキルを奪われし者 / 道草 / くしゃみ / 買い物上手 / 終焉 / いっぱしの冒険者の心 / 水洗トイレ / 最後に行きつくのはとげへの感謝
アイテム: まさひこのネームプレート / 鍵束 / 小さな杖 / 銀の音楽アルバム / 冒険者アレクセイの記憶 / スキル強化の秘宝 / 炎竜の鱗 / 魔法の小瓶
装備: バッグ / 耐熱の手袋 / ヴァイオリン / おしゃれな髪飾り / 魔法反射の外套 / 大魔導士の腕輪 / 強者のグラサン / 強欲な盗賊の指輪 / 満たされた盗賊王のブーツ / ヴェルガル族のペンダント / 彷徨う捕食者の指輪




