森の集落
【85階層】森の集落
階段を降りる。
──森だった。
「また森かよ……」
先ほどの階と同じような光景。
だが、どこか違う。森の奥に、小さな集落が見えた。
穏やかな光が差し込み、家々の煙突からは白い煙が立ち上っている。
「冒険者の方は珍しいんです。ぜひ、ゆっくりしていってください。」
年配の村人が、柔らかい笑顔で迎えてくれた。
警戒するべきかもしれないが──何故か、断る気がしなかった。
◇
一日が過ぎた。
◇
二日が過ぎた。
◇
三日が過ぎた。
◇
気づけば、どれくらいの月日が流れたかわからない。
俺はいつの間にか、この集落の中で暮らしていた。
それも、一人の女と共に。
信じられないほど穏やかで、幸福な日々だった。
森の匂い、暖かな食事、何気ない会話。
ダンジョンでの出来事を思い出すことすらなくなっていた。
◇
──ふと、気づく。
俺は集落の外にいた。
「……?」
ここは、森の中。だが、集落は見えない。
それだけじゃない。
さっきまでの記憶が霞み、ぼんやりとしか思い出せない。
──いや、違う。
俺は、思い出してしまったんだ。
呪いのスキル《道草》が発動したのだと。
「……クソ……!」
俺は何をしていた?
いつの間にか、ダンジョンのことすら忘れていた。
いつか見た「可能性の掲示板」を思い出す。
──「あなたが引き返す時、呪いは力を失う。」
もし俺がまた集落に戻れば、《道草》の呪いは消えるのだろう。
そして、俺はあの穏やかな日々へ戻り、二度と冒険に戻ることはない。
選択肢が浮かぶ。
集落を出る
集落へ戻る
俺が冒険に戻ることで、誰が喜ぶ?
俺が冒険に戻ることで、悲しむ人がいるのはわかっている。
それでも──
俺は、迷わず前へ進むことを選んだ。
俺は冒険者だから。
◇
スキル《満たされない心》は《いっぱしの冒険者の心》に変化した。
・リソース更新
スキル: 蜘蛛の感覚 / 激しく踊りながら素早く移動して回避 / タコ殴り / 丸呑み / スキルを奪われし者 / 道草 / くしゃみ / 買い物上手 / 終焉 / いっぱしの冒険者の心 / 水洗トイレ / 最後に行きつくのはとげへの感謝
アイテム: まさひこのネームプレート / 鍵束 / 小さな杖 / 銀の音楽アルバム / 冒険者アレクセイの記憶 / 金貨の袋 / 炎竜の鱗 / 魔法の小瓶
装備: バッグ / 耐熱の手袋 / ヴァイオリン / おしゃれな髪飾り / 魔法反射の外套 / 大魔導士の腕輪 / 強者のグラサン / 強欲な盗賊の指輪 / 満たされた盗賊王のブーツ / ヴェルガル族のペンダント / 彷徨う捕食者の指輪




