ドッペルゲンガー
【80階層】ボス ドッペルゲンガー
階段を降りると、目の前に開けた広い部屋が現れた。
そして──
反対側の階段から、俺が降りてきた。
……いや、違う。
「……久しぶりだな」
20階層付近で逃がしたドッペルゲンガー。
俺をコピーし、同じようにこのダンジョンを進み続けた存在。
もはや別人ではない。もう一つの俺だ。
だが、俺も楽にここまで来たわけじゃない。
──負けるわけにはいかない。
対決開始
ドッペルゲンガーが右手を切り離して飛ばす。
──放たれたその手が、犬に変化した。
「!」
次の瞬間──
犬の口から、異常に強力なビームが放たれる。
「まずい!コスモバスターだ!!!」
俺は全力で踊るように回避。
光の奔流が床を焼き尽くす。
──そして、横目で気づいた。
俺の影から、成長した妖精が現れる。
「……あのいたずら妖精か!」
──すると、妖精がふわりと微笑んだ。
次の瞬間、脳が痺れるような魅了の魔法。
「っ……!」
危険を感じ、即座に地面に溶け込む。
──しかし、地面の中に、水の渦が発生。
「……これは!」
水洗トイレ × 丸呑み × 道草。
──今の俺のスキルをコピーしている!?
しかもこんな応用の仕方を……!
渦に引きずられ、地上へと引き戻されると、すぐ目の前にもう一人の俺がいた。
「……終わったな」
次の瞬間──俺は丸呑みにされた。
腹の中
暗闇。
湿った壁。
これは、敵の体内……。
──だが、違和感がある。
「……そうか!」
こいつ、丸呑みを使えるだけで、使いこなせてはいない!
──使い慣れた俺だからこそ、確信できた。
なら、対応策も分かる。
俺は残っていた針を2本、肉壁に突き立てた。
「……やはりな」
敵の体が強張る。
その一瞬の隙に、俺はとっておきのアイテムを取り出す。
──巻き戻しの巻物。
使うと、かつて消えたスキルが蘇る。
『さらにとげだらけの体』
──こいつは効くぞ!
強力なとげが全身から生え、ドッペルゲンガーの体内を引き裂く!
「──ッ!!!」
悶絶する敵。
俺は吐き出された。
敵は呼吸を整え、俺を睨みつける。
──そして、俺に丸呑みされないように、とっさに『さらにとげだらけの体』をコピーして針だらけになった。
──が。
「浅はかだな。」
俺は針だらけのモンスターを呑むことには慣れているのだ。
俺は迷わず、ドッペルゲンガーを飲み込んだ。
──勝利。
そして戦いの余韻。
もし俺が負けていたら、このドッペルゲンガーが俺として生きていったのだろう。
そう考えると、恐ろしい。が、少しだけ見てみたい気もする。
──そんなことを思っていると。
俺の中に蘇った『さらにとげだらけの体』が変化した。
『さらにとげだらけの体』は『最後に行きつくのはとげへの感謝』のスキルになった。
「……何だそれは」
……呪い、ではないのか?
──いや。
これは、俺がとげを愛し?、とげに命を救われ、とげを食いすぎた結果、もう外せなくなったスキル。
つまり呪いか。いや呪いのよう、なものだ。
まぁいいか。
何とも言えない気持ちで、俺は次の階段へ向かった。
・リソース更新
スキル: 蜘蛛の感覚 / 激しく踊りながら素早く移動して回避 / タコ殴り / 丸呑み / 地面に溶け込んで移動 / 道草 / くしゃみ / 買い物上手 / 終焉 / 満たされない心 / 水洗トイレ / 最後に行きつくのはとげへの感謝
アイテム: まさひこのネームプレート / 鍵束 / 小さな杖 / 銀の音楽アルバム / 冒険者アレクセイの記憶 / 金貨の袋 / 炎竜の鱗
装備: バッグ / 耐熱の手袋 / ヴァイオリン / おしゃれな髪飾り / 魔法反射の外套 / 大魔導士の腕輪 / 強者のグラサン / 強欲な盗賊の指輪 / 満たされた盗賊王のブーツ / ヴェルガル族のペンダント




