炎の竜
【72階層】炎の竜ヴェルトガル
階段を降りると、見知らぬ人々に囲まれた。
装飾品を身につけ、肌に炎の紋様を描いた彼らは、異国の戦士のようだった。
「召喚は成功しました!」
そんな声が響く。どうやら、俺はこの地に“呼ばれた”らしい。
ここはヴェルガル族の領域。彼らの話を聞くに、100年に一度、炎の竜が復活するという。そして、その脅威に立ち向かうため、様々な方法で戦士を集めているらしい。
俺にも協力を求めてきた。
「わかった」
すぐにそう答えると、ヴェルガル族の戦士たちは驚いた。
……いや、考えるまでもない。どうせ倒さなければ先へ進めないのだ。
すでに戦士たちが集結していた。ヴェルガル族の屈強な戦士たち、異国の冒険者たち。見たところ、自分と同等かそれ以上の強者ばかりだ。
つまり、それほどヴェルトガルは強大な敵だということだろう。
──そして、封印の地に足を踏み入れた瞬間、空が灼けた。
凄まじい炎が天へと噴き上がる。
出現したのは、巨大な炎の竜。
(……今まで見たどの敵よりも圧倒的だ)
灼熱の翼を広げ、俺たちを見下ろすように唸る。
戦士たちが一斉に動いた。弓が放たれ、魔法が飛び、槍が閃く。
自分は、空を飛ぶ竜へ有効な攻撃手段を持たない。そこで、最前線で攪乱を担当することにした。
魔法の炎は《魔法反射の外套》で弾く。竜の視線がこちらに向けば、《激しく踊りながら素早く移動して回避》し、《地面に溶け込んで移動》して隙を作る。そして、油断したところを《ヴァイオリン》で殴る。
──激闘は何時間も続いた。
ヴェルトガルの動きが鈍る。勝機が見えた……と思った矢先、竜が大きく息を吸い込んだ。
(……まずいな)
今までにないほど膨れ上がる、強烈な炎の気配。
「最後の大技か……!」
反射できず回避も間に合わない。
ならば──
《丸呑み》
巨大な炎の塊ごと飲み込もうとする。が──
「……っ、熱……!」
呑み込み慣れた自分ですら、吸い込みきれずダメージを受けた。
意識が途切れそうになる。
──次に目を開けたとき、ヴェルトガルは討たれていた。
戦士たちの歓声が耳に飛び込んでくる。
燃え落ちる竜の亡骸。その傍には、ヴェルガル族の戦士たちと、異国の冒険者たち。皆、傷だらけだった。
だが、誰もが誇らしげな顔をしている。
勝ったのだ。
──宴が始まった。
戦士たちは酒を酌み交わし、互いの健闘を称え合う。
食料が運ばれ、竜の肉が豪快に焼かれる。その香ばしい匂いが、疲労した体に心地よい。
戦士たちと話しながら、ふと気づく。
……ダンジョンに来てから、他人とこうやって飲み食いするのは初めてかもしれない。
そんなことを思っていると、圧倒的な力を見せた《凄い賢者アルヴェスタ》による回復を受け、完全回復した。
「凄いな。」
そして、ヴェルガル族からの褒賞として、《炎竜の鱗》と《ヴェルガル族のペンダント》を受け取る。
「……っと」
体がふっと軽くなった。
ゆっくり休む間もなく、次の階層へと飛ばされた
・リソース更新
スキル: 蜘蛛の感覚 / 激しく踊りながら素早く移動して回避 / タコ殴り / 丸呑み / 地面に溶け込んで移動 / 道草 / くしゃみ / 買い物上手 / 終焉 / 満たされない心
アイテム: 誰かの目玉 / まさひこのネームプレート / ウナギ / 針×2 / 鍵束 / 茶色い液(残り半分) / 巻き戻しの巻物 / 小さな杖 / 銀の音楽アルバム / 冒険者アレクセイの記憶 / 金貨の袋 / 炎竜の鱗
装備: バッグ / 耐熱の手袋 / ヴァイオリン / おしゃれな髪飾り / 魔法反射の外套 / 大魔導士の腕輪 / 強者のグラサン / 強欲な盗賊の指輪 / 満たされた盗賊王のブーツ / ヴェルガル族のペンダント




