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静寂と衝動

【62階層】静寂と衝動


階段を降りた俺を迎えたのは、静寂だった。


敵の気配がない。周囲には何の変哲もない石壁が続き、見渡す限り罠も仕掛けもない。ただ、妙に広い。どこまでも廊下が続いているように見える。


「……長いな」


それでも進むしかない。退屈と戦いながら、ひたすら足を動かす。


敵が出てこないなら、それはそれでありがたい話ではある。が、こうも何も起こらないと逆に落ち着かない。俺は無意識に周囲を警戒しながら、ゆっくりと歩を進めた。


──そういえば、こういう何もしてない時間って、意外と新しいアイデアが浮かぶものだ。


ふと、俺の中に何かが湧き上がってくる感覚があった。


……これは。


この感覚、覚えがある。スキルを思いつくときのものだ。だが、ここで手に入るはずはない。それなのに、身体の奥底から込み上げるような衝動が止まらない。


──踊りたい。


俺は思わずヴァイオリンを構えた。


弦はある。ただ、弓がない。


それでも、俺の指は宙をなぞる。持っている体で、エアヴァイオリンを奏でるように。


──音が聞こえた気がした。


そして、気づけば身体が勝手に踊っていた。


いや、これはもう踊りというレベルではない。


激しく、荒々しく、暴れるように舞う。


足が大地を叩き、手が空を切る。指先がヴァイオリンの弦を弾くように滑り、旋律が石壁に反響するような錯覚を覚える。回転し、跳ね、蹴り、捻り、跳び上がる──身体の全てを使った舞踏。


「……はぁ、はぁ……っ」


どれだけの時間が経ったのか、わからない。


気がつけば、俺は息を切らしながらその場に立ち尽くしていた。


ふと、自分の動きが変わっていることに気づく。


「……影走り?」


試しに動いてみる。影に入るのではなく、その場で踊りながら回避行動を取ってみた。


──速い。


踏み込んだ足が勢いよく床を蹴り、回転することで攻撃をいなす。次の瞬間には別の足が動き、無駄のないステップで回避を繰り返している。


まるで戦場で舞う踊り子のように、俺の身体は無意識に攻撃を避ける動きをしていた。


「……ははっ」


笑いが漏れた。


俺の影走りは、いつの間にか激しく踊りながら素早く移動して回避するものへと変化していた。


こうして俺は、ひとつの階層をただ踊りながら駆け抜けた。


・リソース更新

スキル: 蜘蛛の感覚 / 激しく踊りながら素早く移動して回避 / タコ殴り / 丸呑み / 地面に溶け込んで移動 / 王の風格 / 道草 / くしゃみ / 買い物上手 / 終焉

アイテム: 誰かの目玉 / まさひこのネームプレート / ウナギ / 針×2 / 鍵束 / 回復ポッドの液 / 茶色い液 / 怪しい食料 / 巻き戻しの巻物 / 青い風景画 / 小さな杖 / 魔法のタロット / 銀の音楽アルバム / 死への特急券 / 冒険者アレクセイの記憶

装備: バッグ / 耐熱の手袋 / ヴァイオリン / おしゃれな髪飾り / 魔法反射の外套 / 大魔導士の腕輪 / 強者のグラサン


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