第99回デス・アドベンチャー・レース
【61階層】第99回デス・アドベンチャー・レース
階段を降りると、突然耳をつんざくような大歓声が響いた。
「おおっと! ここで新たな参加者の登場だーっ!」
まばゆい光の中、気づけば俺は巨大なコロシアムの中央に立っていた。
周囲を埋め尽くすのは、興奮に沸き立つモンスターたちの観客。ゴブリン、オーク、リザードマン、アンデッド……ありとあらゆる怪物がスタンドから喚声を上げている。
「……嫌な予感しかしないんだが」
見渡せば、俺以外にも複数の参加者がいた。人間の冒険者もいれば、ケンタウロスやワイバーン、巨大な狼に跨ったモンスターたちもいる。
……が、どうも様子がおかしい。人間の冒険者たちは皆、頑丈そうな口輪をはめられ、目は血走り、涎を垂らしている。
まるで理性を奪われた猛獣だ。
「さあ! 第99回デス・アドベンチャー・レースの開幕だ!」
観客席から、司会のスケルトンが派手にアナウンスする。
……デス・アドベンチャー・レース?
「各参加者は己の乗り物に乗り、ゴール地点を目指して突っ走ること! 途中の障害物、妨害、戦闘は自由! なお、ゴールできなかった者は観客の餌になりますので、ご注意を!」
ざわめくスタジアム。
俺は思わず周囲を見渡した。
確かに、他の参加者はそれぞれ乗り物に乗っている。馬、魔獣、戦車、果ては飛行生物まで。だが……俺の乗り物はどこにもない。
「おい、俺の乗り物は?」
俺が尋ねると、運営らしきゴブリンがニヤリと笑った。
「ここまで来られるぐらいの方なら、それぐらい何とかして見せてください」
……はぁ。
「レース開始まで、あと五秒!」
……いや、待て。マジか。
「4! 3!」
俺は即座にバッグを漁った。今あるリソースで何とかするしかない。
「2!」
……ある。これしかない。
「1!」
俺はバッグから魔法のタロット、戦車のカードを引き抜いた。
「スタート!」
カードを叩きつけると、目の前に突然ターボ付き戦車が召喚された。
「……こうなりゃヤケだ」
俺は戦車の上に飛び乗り、全速力でスタートを切った。
他の参加者たちは猛スピードで競り合いながら、俺を抜こうと迫る。が、俺の戦車は違う。
「どけぇぇぇぇぇぇ!」
目の前の馬、狼、魔獣どもを片っ端から跳ね飛ばしていく。
ケンタウロスの戦士が槍を投げるが、戦車の鉄壁の装甲に弾かれた。
障害物は地面に溶け込んで移動を使い、戦車ごと地面に潜って回避。
魔法の網は蜘蛛の感覚でどける。
ワイバーンが空から襲いかかるが、俺はヴァイオリンを振りかざして殴り落とす。
前にいる敵は飛びついて丸呑みに。
そうして混乱の中、俺はトップを維持し、そのままゴールラインを駆け抜けた。
「優勝ォォォォォォ!!!」
観客席が怒涛のように盛り上がる。俺はその勢いのまま、減速もせずに戦車でスタジアムを突破、出口の階段までそのまま突っ走った。
──このダンジョン、やっぱりおかしい。
・リソース更新
スキル: 蜘蛛の感覚 / 影走り / タコ殴り / 丸呑み / 地面に溶け込んで移動 / 王の風格 / 道草 / くしゃみ / 買い物上手 / 終焉
アイテム: 誰かの目玉 / まさひこのネームプレート / ウナギ / 針×2 / 鍵束 / 回復ポッドの液 / 茶色い液 / 怪しい食料 / 巻き戻しの巻物 / 青い風景画 / 小さな杖 / 魔法のタロット / 銀の音楽アルバム / 死への特急券 / 冒険者アレクセイの記憶
装備: バッグ / 耐熱の手袋 / ヴァイオリン / おしゃれな髪飾り / 魔法反射の外套 / 大魔導士の腕輪 / 強者のグラサン




