記憶の呪縛
【57階層】記憶の呪縛
階段を降りた瞬間、冷たい風が吹き抜けた。
暗闇に満ちた広間。壁も天井も見えない。
足を踏み出すと、何かがうごめく音がする。
──ざわざわ、ざわざわ。
耳元でささやくような声。
「……魂か」
目を凝らすと、無数の光が宙を舞っていた。
淡く、儚げに揺れるそれらは、まるで生者を迎え入れようとするかのように漂い、俺を包囲していた。
「囲むなら、避けるだけだ」
俺は影走りを発動し、一気に駆け抜ける。
だが──
「っ……!」
回避しきれなかった。
魂の一つが、俺の体をすり抜ける。
──視界が歪む。
記憶が、流れ込んできた。
知らない景色、知らない戦場、知らない怒りと悲しみ。
「……ちっ」
動揺を振り払おうとするが、次の瞬間、さらに別の魂が俺にぶつかった。
視界がまたもや揺れる。
今度は別の記憶。
知らない誰かが、家族と笑い合っていた。次の瞬間、その家族が消えていく。
「……っ!」
やばい。このままでは、俺は俺でなくなる。
逃げるしかない。
俺は地面に溶け込んで移動する。
──が、甘かった。
魂たちは、地面の中でもついてきた。
「そういうタイプか……!」
地面の中でさえも、追いかけてくる魂たち。
このままでは逃げ切れない。
だが、俺には手がある。
「道草スキル、発動」
──視界が切り替わる。
今まで流れ込んできた記憶とは違う、別の魂の記憶へと飛ぶ。
場面が変わる。そこは、ただの田舎道だった。
遠くで誰かが歌を口ずさんでいる。
魂たちが、一瞬戸惑ったように動きを止める。
その隙に、俺は再び道草スキルを発動。
──場面転換。
今度は、誰かが狩りをしている記憶。
また発動。
──場面転換。
別の誰かが川辺で水を汲んでいる。
繰り返し、繰り返し、俺は記憶の間を移動する。
──そして、気がつけば、魂たちは俺を見失っていた。
俺はゆっくりと現実に戻る。
冷たい空気の中、俺は一人で立っていた。
「……なんとかなったか」
俺は深く息をついた。
そのとき、何かが足元に落ちているのに気づく。
──小さな水晶。
手に取ると、微かに記憶が流れ込んできた。
「冒険者……アレクセイ?」
どうやら、ここで散った冒険者の記憶らしい。
「勝手に持っていかせてもらうぞ」
俺は水晶をバッグにしまい、先へ進んだ。
・リソース更新
スキル: 蜘蛛の感覚 / 影走り / タコ殴り / 丸呑み / 地面に溶け込んで移動 / 王の風格 / 道草 / くしゃみ / 買い物上手 / 終焉
アイテム: 誰かの目玉 / まさひこのネームプレート / ウナギ / 針×2 / 鍵束 / 回復ポッドの液 / 茶色い液 / 怪しい食料 / 巻き戻しの巻物 / 青い風景画 / 小さな杖 / 魔法のタロット ×3 / 銀の音楽アルバム / 死への特急券 / 冒険者アレクセイの記憶
装備: バッグ / 耐熱の手袋 / ヴァイオリン / おしゃれな髪飾り / 魔法反射の外套 / 大魔導士の腕輪




