スキップ
【56階層】スキップ
──妙に気分がいい。
階段を降りた瞬間から、何かが違う。
重苦しい空気は消え、心がやたらと軽い。
……いや、軽すぎる。
俺は階層の奥へ進みながら、ふと足が浮くような感覚を覚えた。
「……なんだ?」
自然とリズムを刻み、無意識のうちにステップを踏んでいる。
気のせいじゃない。俺の足取りは軽やかになり、今にも踊り出しそうな勢いだ。
「……この階の影響か?」
妙な違和感を覚えながらも、俺は進んだ。
すると──
ヒュンッ、ヒュンッ!
どこからともなく、軽快な音とともに何かが跳ね回る。
「……スキップ?」
俺の前に現れたのは、妙に楽しげなモンスターだった。
姿は小柄で、丸い帽子をかぶり、体がふわふわと揺れている。
何より、その動きが……軽やかすぎる。
ピョン、ピョンッ!
こいつ、スキップしてやがる。
まるで音楽に合わせて踊るように、軽快な足取りで俺の周囲を跳ね回る。
「ふざけた動きだな……」
そう言いながらも、俺自身の足もまた、弾むように動いていた。
──しまった。
気づけば俺もスキップしている。
しかも、地面に溶け込んで移動した瞬間ですら、俺はスキップしていた。
「……なんなんだこれは」
地面の中でスキップするって、一体どういう理屈だ?
とにかく、戦闘になった。
モンスターはスキップしながら回転し、時折弾むように飛びかかってくる。
が、スキップに慣れていないのか、動きが単調だ。
「悪いな、俺はこいつに順応しちまった」
俺は影走りで素早く距離を詰め、ヴァイオリンを振り下ろした。
──ドゴォッ!!
軽やかにスキップしていたモンスターは、俺の一撃を受けて吹き飛んだ。
やがて、モンスターの体が霧のように消えていく。
同時に、俺の体から浮かれるような感覚も抜け落ちた。
「……やれやれ」
俺は息を吐き、ふと脳裏に何かがよぎる。
──スキップのスキルを習得できそうだった。
だが、俺は迷うことなく拒否した。
スキルなどなくても、もともと俺にはスキップの才能があったようだ。
気付けてちょっと気分が良い。
そう思いながら、俺は階段を進んだ。
・リソース更新
スキル: 蜘蛛の感覚 / 影走り / タコ殴り / 丸呑み / 地面に溶け込んで移動 / 王の風格 / 道草 / くしゃみ / 買い物上手 / 終焉
アイテム: 誰かの目玉 / まさひこのネームプレート / ウナギ / 針×2 / 鍵束 / 回復ポッドの液 / 茶色い液 / 怪しい食料 / 巻き戻しの巻物 / 青い風景画 / 小さな杖 / 魔法のタロット ×3 / 銀の音楽アルバム / 死への特急券
装備: バッグ / 耐熱の手袋 / ヴァイオリン / おしゃれな髪飾り / 魔法反射の外套 / 大魔導士の腕輪




