傷だらけの体
【42階層】傷だらけの体
身体が動かない。
傷が深い。
前の戦いで負った無数の傷が痛みとなり、じわじわと体力を削っていく。血は止まっているが、無理に動けば開くだろう。
このままじゃマズい。
回復体質でも回復しきらないのはかなりの重症だろう。他に回復手段はないかとバッグの中を探るが、まともに役に立ちそうなものはない。
「……こうなりゃ、もうやるしかないな」
俺は丸呑みのスキルを使う決断をした。
これは賭けだ。
落ちているもの、拾ったもの──目についたものをとにかく胃に押し込む。
──ガツン!
「……うおっ!?」
何かを飲み込んだ瞬間、突然何かが暴れだした。
「モンスターか!?」
どうやら、俺は知らぬ間にこの階層にいた何かのモンスターを飲み込んでいたらしい。
だが、もがくのも一瞬だった。俺の胃の中で力を失い、静かになる。
──倒した。
「……やっぱ、怖いなこのスキル」
自分の体を超えるものを飲み込めるし、飲み込んだものがどうなるのかもわからない。
だが、
多少、身体が回復した。
傷が完全に塞がったわけではないが、さっきまでのようにまともに動けないほどではない。
「これなら……動けるか」
そして、奇妙な感覚が脳内に広がる。
──何だ?
俺の体の内側から、まるで王のような威厳を感じる力が流れ込んでくる。
「これは……スキルか?」
何か新しいスキルを手に入れたようだ。
──王の風格。
詳細は分からないが、自然と周囲を圧倒する雰囲気をまとえる能力のようだ。
「……使えるかもしれないな」
代わりに何のスキルを諦めるか。
「持ち物台無し、かな」
前の階で、ぶち込むのスキルを捨ててしまったのは失敗したかもしれない。
ぶち込むと持ち物台無しのコンボは役に立ちそうだったのだが、持ち物台無しだけではできることが限られてしまう気がした。
「新たな可能性を探すべきか……」
俺は持ち物台無しのスキルを捨てることにした。
「よし……行くか」
少しはマシになった身体を引きずりながら、俺は次の階層へと進む。
・リソース更新
スキル: 蜘蛛の感覚 / コスモバスター / 影走り / タコ殴り / 丸呑み / 怒りと悲しみの声 / 回復体質 / 獣の膂力 / 針だらけの体 / 王の風格
アイテム: 大量の懸賞金 / 学校の教科書 / 誰かの目玉 / まさひこのネームプレート / ウナギ / 針
装備: バッグ / 耐熱の手袋 / ヴァイオリン / おしゃれな髪飾り / 奇跡の指輪




