月夜
【40階層】ボス 月夜
……ボスか。
敵の気配がなくても経験でわかる。
まぁ、40階だしな。
辺りは静か。まるで月明かりだけが世界を照らしているような空間だ。
……そして、ポツンと宝箱がひとつ。
「怪しいな。」
だが、開けるしかない。
俺は慎重に宝箱の蓋を開けた。
——『無敵の実』を手に入れた!
「……無敵の実?」
その瞬間。
——ギギギギギ……!!
「っ!?」
頭上に現れたのは、巨大なトゲ付きの鉄板。
「クソッ!!」
避けようとするが——間に合わない。
反射的に、手にした無敵の実を口に放り込んだ。
——ドガァァァン!!!
俺はトゲ付きの鉄板に潰された……はずだった。
だが——
「……あれ?」
……無傷だ。
「……マジか。」
トゲが突き刺さる感触もない。痛みもない。完全な無敵状態か?
「ふざけたアイテムだな……」
這い出ると、辺りには無数のモンスター。
四方八方から襲いかかってくるが——
攻撃を受けてもダメージがない。
「……こんな楽でいいのか?」
その時だった。
「……?」
口の中から、小さな魔物が出てくる。
「何だと?」
さらに怒りと悲しみの声のような音。
……前に倒したはずのアイツか?
また現れた?
火薬の匂い。
爆発するのか?
……いや、しない。
「……何かおかしい。」
突然、裸の女たちが刃物を持って襲ってくる。
「待て待て待て!!」
しかし、月が増えて、彼女たちはさらに狂ったように暴れまわる。
「……この階層はおかしい。」
……もしかして。
この階層自体が幻覚の敵なのか?
「くそ……!」
自分を攻撃して意識を覚まそうとする。
だが、無敵の実のせいでダメージが入らない。
「まさか、そのための無敵の実だったのか……」
どんどん景色が歪んでいく。
……ヤバい。
このままでは、おかしくなっていることにすら気づけなくなる。
「こうなったら……!」
俺は抜群な酒を取り出し、持ち物台無しのスキルを発動。
「……酢になれ!」
——ゴボゴボゴボ……!!
『抜群な酒』は、最悪の酢へと変化した。
「……こ、これを飲むのか?」
……かなり嫌だ。
だが、やるしかない。
「……ッ!」
一口飲んだ瞬間。
脳が弾けるかと思った。
「ぐぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
体が全力で震える。胃が裏返るような衝撃。
だが——
「……ん? 少し意識がはっきりした……?」
そうなってしまうか……
仕方なく、俺は震えながら飲み続けた。
一本飲み終わると——
——月夜は消え、普通の階層に戻っていた。
そして、階段が現れる。
「……幻覚も強敵だったが、このお酢も強敵だった。」
俺は二度と戦いたくないものを、一つ増やしてしまった気がする。
「……次の階へ行くか。」
——
・リソース更新
スキル: 蜘蛛の感覚 / コスモバスター / 影走り / 持ち物台無し / ぶち込む / タコ殴り / 丸呑み / 怒りと悲しみの声 / 回復体質 / 獣の膂力
アイテム: 大量の懸賞金 / 学校の教科書 / 誰かの目玉 / まさひこのネームプレート / ウナギ
装備: バッグ / 耐熱の手袋 / ヴァイオリン / おしゃれな髪飾り / 奇跡の指輪




