表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.301~】

秘する想いの行方 【月夜譚No.321】

作者: 夏月七葉

 ロックでも聴いていそうな恰好だ。

 Tシャツに革ジャン、ダメージジーンズの足許は編み上げのブーツ。黒で統一された色合いは地味なのに、酷く目立った印象だ。

「……どう、かな?」

 恐る恐る尋ねる彼は及び腰で、お世辞にも似合っているとは言えない。彼の中の〝恰好良い〟がこういうイメージだったとは、幼馴染みの彼女も驚きである。

 まさかこんな恰好でくるとは思わず、彼女は頭を押さえて深い息を吐いた。それをどう捉えたのか、彼の肩がびくりと跳ねる。

 クラスの気になる女子と日曜日に文化祭の準備の買い出しに行くことになったと、嬉々として彼女の許へ報告にきたのが数日前。服装をどうしようと悩む彼に、半ば勢いでアドバイスをしてやると言ったは良いが、これではアドバイスだけでは埒が明かないだろう。

 彼女は彼の手首を掴むと、そのまま歩き出した。

「ちょ、ちょっと何処行くの?」

「もうちょっとマシなの選んであげるから、黙ってついてくる」

 ピシリと言いながら、ショッピングモールへ足を向ける。

 幼馴染みとの久し振りの買い物が、こういった目的なのはいただけない。それでもどうにかしてやりたいと思ってしまうのは、数年前に芽生えた想いのせいだ。

 複雑な感情に胸の痛みを覚えつつ、彼女は口元に苦い笑いを浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ