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セフレもち男を好きになるということ  作者: 一華花
第一部 23歳のもやもやする初恋
5/56

女子会(いわくつき)

―――――――

――――



「ふぅん。一丁前に嫉妬ねぇ」


「…はい」


金曜日。


仲良し同僚らの誘いを断って、先日からの憂いを解決するべく、

片膝でハイボールを飲んでいる行儀の悪い女の前で私は肩を丸めながらおちょこをすすっている。


「ふゆの職場女子率高いんでしょ?

そのチョコの子だけなの?嫉妬しちゃうの」


「うん…」


働く現場自体は大手の会社で何千単位の従業員がオフィスビルにはいるが、私と玉地が所属しているチームは12人編成である。

そしてその内、7人は女性という女性率の高いチームだ。


私たちは自社からシステムチームとして大手に常駐しているため、チーム内で業務が完結する。


「その子が特別かわいいとか?」


「いや。結構みんなかぁいい」


「ふぅん」と自分から聞いといてあまり興味もなさそうにベッドに寄りかかり、長崎は2本目のハイボール缶をカシュッと開けた。


一応仲深めで付き合いも長い友人の長崎というこの女は、ガラも口も悪いが、話を聞いてくれと言えば大抵「了」と返事が来るし、ちょっと後ろめたい相談もどうでもいい顔で聞いてくれる。


まぁまぁ良いやつである。


「でも、私と似たような距離感なのは鹿野ちゃんだけって感じ。

しかも去年からずっと仲良い…玉地多分妹系好きだし…」


「なるほどぉ?」


にやっと笑う長崎に肩を落として、ずずっと一口。

「熱燗すするなよ…」と呟く長崎を無視して、ふつふつとわいてくる感情のままに話し出す。


「てかそもそもあいつ目が悪いんだかなんなんだか知らんけど全員に距離近いんだよな。

でも嫌がられないというか…いるやんそういう警戒心を抱かせない空気感のやつみたいな。

余裕のある感じとか、分け隔てなく接するからいつ誰に好かれてなんとなく付き合い始めてもおかしくないというか…っ」


「おけおけ。

おちつけ。うるせ」


「ふごっ

ふぁ、ふぁらみをまふごといへふやつがおふか!?」


サラミを丸ごと入れるやつがおるか!?

しょっっっぱい!


「…もごもごいいながら日本酒あけるなよ。

絶対ゲロんないでよね」


さけちーを裂いている長崎を恨みがましく見つめながらもごもごと口を動かし、塩分過多の塊を日本酒で流し込む。


「はぁぁぁ……ん?結構いけるかも。


……じゃなくて、だから、私は、嫉妬という感情を抱いてしまったわけかもしれなくて!

同僚の男に!たぶん!」


ばんっと思い切りテーブルを叩くと、じーんと手が痺れた。


長崎は叩きつけた私の手を見てから、ゆっくりと私の目を見て、


そして、ゆっくりと言葉を紡いだ。


「彼氏を″キープ“しながら手を出した、同僚の男、ね」


くっ


「…そう!」


にっこりと、ハイボールで潤った口元が弧を描く。


「惚れたのね」


ぐっ


「…………そう!…たぶん!」


「ふぅん」


「往生際が悪いわね」と言って、長崎は私が抱きしめていた一升瓶を回収してキッチンへ去っていった。


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