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セフレもち男を好きになるということ  作者: 一華花
第一部 23歳のもやもやする初恋
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下心なしの優しさ_ダメージ3


私は、もともとそこまで優しい人間じゃない。

知人とか同僚程度の関係性だったら、泊まり込みでの看病なんてもちろんしない。


私があんなに献身的に、過剰なくらい看病したのは、玉地が好きだからだ。


あわよくば、家庭的な姿を見せて良い女って思われたかったし。


彼女とかそういうのがめんどくさいと思うなら、家庭を連想させるのが30近い男を落とすために有効な戦略かもしれないと思って…


ひたすら下心まみれで看病したのに。


なんなら熱にうなされる顔がご褒美だから頑張れたのに。


「…ありがとう。嬉しい」


「お、めずらしく素直やな。

うんうん、やっぱり素直なほうがかわいいぞ」


犬猫みたいに頭を撫でくり撫でくりされながら、ふと今までの彼女やセフレにもこうして気軽に手慰みに頭を撫でてきたんだろうかと過った。


でもりんごが美味しくて、別にそこまで食欲無いけど油で滑るあったかいチキンも掴んで、小さな嫉妬に苛まれながらも今までで一番幸せだと感じてしまった。


ソファに座ってチキンを食べる私の隣にすわって玉地もチキンをかじる。


玉地はスマホに目を落として、モソモソと食べてる。

腕に当たる玉地の体温が暖かくて、耐えきれなくなった。


「…トイレ」


「おん、いってら〜」


ふらふらと歩いて部屋のドアを開けて、静かに閉めた。

慌ただしくトイレに駆け込むと扉を閉めて、便座の上に座って両手で顔を覆った。


声は出さず、ひたすら涙だけ流れた。


本当にあの男が好きだと自覚してしまって、このぬるま湯のような関係性でも幸せなんじゃないかとどこか願っていたのに。


どうしてもあの男と一緒に生きたいと思ってしまった。


誰にでも向けられる過剰な優しさは、とても鋭く、じりじりと私の心臓に突き刺さっていく。


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