下心なしの優しさ_ダメージ2
「…え?え、え?」
戸惑いながらスプーンで掬うと、とろとろとりんごが流れる。
「ん?皿重い?食わしてやろうか」
「いや、食べれる!けど、え、どうやってすりおろしたの?
売ってた?」
熱があったことを忘れる勢いで聞くと、玉地は「ふふん」と言いながらにやりと笑った。
「ワイがおろしたんやで~」
「おろすやつなんかなかったでしょ?どうやったの?」
「おん、ないからみじん切りにしてジップロックいれて叩いた。
だからそれはすりおろしりんごというよりりんごの叩きやな」
なんでもないことのように言う、なんならどうよこのアイデアと言わんばかりの表情に、思わずぽかんとしてしまう。
「どした変な顔して。たんとお食べ」
頭をポンポン叩かれて、スプーンでりんごを掬う。
少し色が変わってきてるりんごの固形の残骸も一緒にいれて掬って口に入れると、ほんのり冷たい水分がじんわりと舌に染み込んできた。
「……おいしぃ」
「うむうむ。よかよか。」
「世界一おいしいりんご」
「そらそうやな、この俺が作ったりんごだからな」
「うん。おいしい、めっちゃおいしいい」
ゆっくり、でも次から次に口に運ぶ私を見て満足そうに頷いた玉地は、玄関のチャイムの音で部屋を出て行った。
ご苦労様でーすとかすかに玉地の声が聞こえて、部屋に帰ってきた玉地を見ると、その手にはケンタの箱があった。
「…」
「ちょうどケンタも来たわ。
ほんとに食えるんか、ふゆたろ」
「…」
「やっぱくえんか。
まぁ残しとくから無理すんな。
食える時にあっためなおしてあげるよん」
自分の分らしきチキンを取り出している玉地を見ながら、思わず持っていたスプーンの動きが止まった。
また私は、みっともない顔をして、ぽかんとしていると思う。
「…なんで、」
「ふゆたろが食いたいっていったじゃんか」
「なんで私が食べたいって言ったら、全部用意してくれるの…なんでそんな優しいの…?」
ほとんど泣きそうになりながら言ったら、玉地は首を傾げた。
「なんでって、ふゆたろだって俺の面倒見てくれたじゃんか。
同じことやろ」
「…っ」
同じじゃない。
全然、同じじゃない。




