下心なしの優しさ_ダメージ1
「ふゆたろ生きてるか?
なんか食べる?」
「…りんご」
初めはベッド際のデスクで仕事をしている玉地のPCを覗き込んだりして茶々をいれていたものの、少しずつ熱が上がってきて、ベッドに沈みこんでいた。
いつの間にかお昼になっていたらしく、PCをパタンと閉じた玉地が頭を撫でながら聞いてくる。
「ちっちゃく切ったら食える?好きな食べ方ある?」
「…すりおろし。ケンタ。」
「す、すりおろし?しかもケンタも食うん?
食えるんか?」
ベッドに埋まるように頷くと、「わがままちゃんやなぁ」と言いながら頭をさらっと撫でて、パタンと部屋を出ていく音がした。
この家におろし器なんてものがあるわけないし、ケンタも近くにない。
言うだけならタダかなと思って言ってみたけど、どっか行っちゃった。
林檎切ってきてくれるんかな。
ーー
全然部屋に戻ってこないので、ちょっとおなかすいたなと思いつつも、目を瞑って、うつらうつらと眠っていた。
ノリだと分かってるとは思うけど、図々しいと少しでも思われてたらヤダな。
食欲無いふりして手間かけないほうが良かったかな。
面倒だから外でご飯食べてたらどうしよ。
…そばにいてくれるだけで嬉しいのに、それを伝えることさえできない。
いつものネガティブに入りそうになると、熱が頭をぼうとさせてくれて、かえって頭が軽く感じた。
少し目を開いて玉地がいた痕跡を探していると、ガチャリと部屋が空いて、鼻歌交じりに近づいてくる音がした。
慌てて目を閉じた。
なんで閉じたんだ。
「やっほーふゆたろ。
おきてる~?」
おでこをそっと触れてくる手に目を開けると、にこにこした玉地が片手に深いお皿を持って覗きこんできた。
「お、起きてるな。
リンゴ食う?」
「…食う」
りんご切ってくれてたんだ。
妙に時間かかってた気がするけど、熱のせいで時間間隔ずれてるのかな。
まぁ私が買ってくるまで包丁もまな板もなかったしな…と思いながら身体を起こすと、持てるか?と聞きながら玉地がお皿を渡してきた。
ひんやりしたお皿を見ると、そこにはところどころ小さな固形の、すり下ろされたりんごが満たされていた。




