甘えてもいられない23歳【3】
美味しいラーメンを食べ、少し感じる胃もたれにちょっとした身体の衰えを感じつつ、玉地が吐いたタバコの白い煙を目で追う。
煙の先には東京湾がある。
喫煙所近くの階段に座り込んで眺めていると、船笛がぶおーんと鳴き、のっそりと船が動き出したのが見えた。
「やっぱ東京はええよなぁ」
「…汚くて臭いけどな」
「いやいや。港区様はそうでもないじゃんか」
「…まぁ、そうかもね」
わたしの横に立ってタバコをふかしていた玉地は、2本目のたばこを準備しながら口を開いた。
「そういえば」
「…」
黙って見上げると、玉地は細めた目で船を追いながら2本目のタバコを吸っているところだった。
「―七瀬さん、とうとうエナジードリンク禁止令が出たらしい。
鏑木さんが本社の課長に口滑らせたらしく」
「英断だね。
そろそろあの人エナジードリンク飲み過ぎで死にそうって思ってたところだもん」
七瀬主任はエナジードリンクを1日3本、ひどいときは5本も空けている。
既に致死量である。
ほんとによくない。
「なら止めたれよふゆたろが」
「私が止めたら君タバコやめるん?」
「………」
ぴたりと身動きが一度止まった後玉地は私を見下ろし、空に向かってふぅぅと煙を吐き切った。
そしてにっこりと笑った。
「―むり」
「そういうことやんなぁ」
ふんっと私は立ち上がり、ぱんぱんとスカートのお尻をはたいた。
「そろそろ帰るよ。歯磨かなきゃ」
「おん、先行ってて~」
「君も磨くんだよ。スメハラで訴えるよ」
「ひどい…」




