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セフレもち男を好きになるということ  作者: 一華花
第一部 23歳のもやもやする初恋
22/56

甘えてもいられない23歳【2】


「んじゃ、我々はもう少し仕事な。すまんな」


「ん、いーよ別に。どの資料?」


玉地と相談しつつ私が以前担当していた会社の資料を見ながら修正し、メールのWチェックもついでに行う。


「…ん?ていうかこれ今日の午後一じゃなくてもいいんじゃないの?」


まぁ早いに越したことはないけど…と呟くと、玉地は私がチェックしたメールを送信して、PCを閉じた。


「ん~まぁ…まぁまぁ。

んなことより飯行こうぜ。牛丼でいい?」


「…扇田屋の天丼」


「たかっ!あそこ一人最低1500円はするやろ!

サラリーマンのランチはワンコイン!」


「ちぇ」


流石に無理かと思いながら私もPCを閉じ立ち上がる。


スマホを見ながら玉地を待つと、玉地も財布を持って立ち上がった。

二人でオフィスからでて世間話をしつつエレベーターに向かい、レストランフロアへ降りた。


「…まぁ、なんか嫌なことでもあったんなら、カロリー摂取させてやらんでもない」


「…まじ?」


レストランフロアを歩きながらぼそっと呟いた玉地に思わず目を丸くして振り返ってしまった。


「なんかふゆたろいつもと違ったからな。

なんかあったんかなぁってなんとなく」


「…そう?」


「うむ。異様にミスが少ない。

いつも些細なミスを午前中に3回はするはずなのに」


「…どんな判断のしかたよ…いや、まぁ、普段から気を付けます、はい」


少し肩を落としていると、玉地はパンっと私の背中を叩き、お店の前に押し出した。


「まぁ、無理に聞き出したりはしないさ。

取り敢えず必要なのはカロリーやな、やっぱ」


目と鼻の先にある暖簾に書かれている゛濃厚゛゛家系゛の文字に眉を寄せる。


「天丼…」


「天丼と同じだけのカロリーは取れるぞ。

ほら、邪魔になるから入れ入れ」



オフィスビルに入っているラーメン屋なのに、暖簾をくぐった瞬間のなんともいえない熱気は変わらないものなんだなと感じながら、押されるままカウンターに座った。


「麺硬め味濃いめ油マシマシニンニク抜きで」


「ふゆたろ…それは天丼こしとる…」


呆然と呟く玉地から食券を奪い、店員さんに渡す。


「ごちそうさまでーす」


「…はぁ」



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