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セフレもち男を好きになるということ  作者: 一華花
第一部 23歳のもやもやする初恋
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よくあるかもしれない、ずるい男にひっかかる女の話

「セフレ」や「セックス」など直接的な性表現があります。

下ネタ系も入るかもしれませんので、苦手な方はご注意ください。

突然だが、私は割と性に奔放というか、寛容なたちである。

世間一般で言われるビッチさんたちのような生活はしていないが、むっつりだ。

シモの話も大好物だ。


だから彼氏が誰とでもセックスしてもいいよって言ってきたときも、半分は理解できた。

性行為と恋人関係を切り離した捉え方は私も共感できたからだ。


ただ私と彼氏が決定的に理解しあえないラインが存在した。


彼氏は風俗も素人(例えば男友達とか)もOK。


私は、風俗はOKだが、素人はNGである。

これは友人たちも多く共感してくれたが、情の問題である。


性のプロはプロであるからして、いちいち客に性行為を通じて情を抱くことはまぁ少ないだろうと思う。


だが、性的関係をもってもよいと感じるほど仲の良い誰かとイチャイチャしてしまえば、そちらへの情が恋人への情より上回ってしまうときがくるかもしれない。


その可能性がどんな関係性においてもゼロにはなりえないからこそ、恋人へ自分以外の人間との愛情的行為を禁じるのが彼女心、彼氏心と、思っていた。



「彼氏、ふゆたろのことそんな好きじゃないんじゃない?」


「ん~、好きらしい」


ほぇ~と気の抜けた声で返事をした後、玉地は電子タバコを吸って、恍惚とした顔で煙を吐いた。


「エッチしてるときより気持ちよさそう」


「エッチよりきもちええで」


「…はらたつな」


男どものデリカシーの無さをまとめて食らった私は、スマホで漫画を読みながら、眉を寄せた。


「いやいや、まぁエッチが前戯で、こっちが本命的な。

どちらもなくてはならない存在というか…」


「じゃ金払え」


「ボク、オカネ、ナイヨ」


「昨日5万勝ってんの知ってる」


ひぃんと情けない声をだして煙を吐き切ると、私のかぶっていた布団の中に潜り込み、ぎゅうっと強く私を抱きしめた。


パーカー越しの私の胸に顔をうずめて、すーと深く息を吸った。


「吸うな」


「タバコ吸うなっていうからぁ」


うぅと呻いてすりすりと頭を胸に擦り付けてくるので、スマホを持つ手を持ち上げて頭に肘を乗せる。


「おっさん、セクハラ」


「いまさら」


「…まぁたしかに」


いつからだろうか。


嫌いだったタバコの匂いが、念入りにケアしている髪に染み付くことを少し喜ぶようになってしまったのは。


「おっさん暑い」


「えぇ~離れろってことぉ?やだー」


「…クーラーあげろってこと」


高学歴高身長ほどほどイケメンの彼氏と一年半付き合った記念を迎えそうな夏のこと、私は気づいてしまった。


「…てかおっさん、頭は薄くなってきてるのにそんなとこばっか…」


「んあ?」


鼻毛がでている男を見てもなお愛しいという感情が居座り続けていることに愕然とし、そして諦めた。


どうやら私はこのやっかいな男に、”初めて”恋をしてしまったらしい。


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