第九話 敵襲
「[氷突]」
地面からつららが次々と四天王の方へ突き出てくる。
「おっとっと、危なかったねぇ。」
四天王はクスッと笑いながら華の技を避けた。
「クソっ、外した。」
先生が得意な氷魔法による攻撃は、あらゆるところに氷を出せる。僕もあの攻撃を避けるのに苦労したのに…あいつは先生の攻撃にすぐに反応して回避してる。
先生は悔しそうやなしていたがすぐに切り替えた。
「もう攻めてこないのかい?じゃあ!」
その瞬間、華の足元に魔法陣が描かれた。
「なにこれ。」
「[重力範囲・転]」
魔法が発動されると華は上空にぶっ飛ばされた。
「先s…ゴホッゴホッ…先生!」
先生は空高く、僕のてのとどからない位置にいた。
その頃、ブォォォと風が鳴り響く上空では。
「うわっ。高![氷柱]。」
地面からピキピキと氷の柱が生成される。その高さに驚きながらも、すぐさま氷の柱に安全に着地した。
「どういうこと?あいつの能力は重力のはずなのに。」
先生にはわからないようだが、僕はあの技知っていた。あれは確か能力が使えるようになった「本」に載っていた<能力の反転化>だ。確か本ではあの四天王クラスの能力者でないと使えないと書いてあった。本当にあのケラケラ笑ってるやつが四天王なのか。うざいな。
「さすが元団長、まぁこれくらいで死ぬとも思ってないけど。さぁ、どう来る。」
四天王は余裕そうにしているが全く隙を見せない。
激しく能力を使ってきた華にも相当な負荷がかかってきた。
「はぁはぁ、そろそろきついな。これで終わって![氷龍]」
華が辛そうに打った氷龍。それは流氷の人生
の見てきたものの中で、一番美しい景色を作った。氷のように穢れがなく、そして…輝いている。
「まずい、これは避けなければ。」
それから瞬きをする間に、氷の神龍が四天王の左腕を食いちぎった。あんなに綺麗な空色だったのが紅に染まった。神龍は血を吸い、さらに神々しくなった。
そこで流氷は正気に戻った。
「相手は四天王だ。片腕が無くなっただけではどうにもならない。先生も傷を負って、あんな魔法まで出して限界なはずだ。」
奴が弱っている今なら、僕でも戦えるかもしれない。そう思った流氷は右手から右足、左手から左足と血を流しながらも力を振り絞り、立ち上がろうとしている。
「待っててください。先生!」