第三話 新たな始まり
「お邪魔します…」
「いらっしゃい」
家に入ると彼女はもう料理をしていた。
でも、匂いが感じない。
「ほら、これ食べなよ!」
暖かい野菜スープを作ってくれた。
「あ、ありがとうございます…」
「で、どうしたの?」
「え、いや…その…」
(この人は僕が能力者ってことをしらないのかな…)
「言ってみな。私を信じてみて」
「そんな急に会って信じられませんよ。」
「ですよね〜。けど私を信じてよ!」
能力者だって言ったらこの子も友達みたいに酷いことを言うのかな。
とてつもなく怖い。
でも
「嫌わらないと約束してくれますか?」
「約束するよ!」
「僕は、能力者です。この村だと能力者は嫌われておるんです…。こんな僕と関わっていたらあなたまで…」
彼女はびっくりした様子で俺を見ていた。
そのまま僕は話を続けた。
今までの憎しみ、悲しみ、怒り、絶望。
すべて吐き出した。
少し経った後、彼女はある言葉を言った。その言葉は僕を驚かせた。
「君も能力者なの?」
「…!?」
(聞き間違いか?)
「君もって…」
「実は私も能力者なんです」
「…え?」
僕は気づいたら泣いていた。
夢のような現実だ
僕は、初めて僕以外の能力者と会った。
少し嬉しかった。
でも心の冷たさは変わらなかった。
「ねね、君」
「なんでしょうか…?」
「君の名前は?」
突然名前を聞いてきた。
「僕…ですか…?」
「君以外居ないでしょう?」
このとき僕は少し戸惑った。
お母さんは僕を化け物扱いをした。家族の縁を切った方がどちらのためでもあるだろう。だから僕は…
「僕は流氷です。」
性を捨てた。
「流氷くんか。私は、華よろしくね。」
「よろしくお願いします。」
「流氷かぁ…長いし…流ちゃんって呼ぼう!」
華さんは急にあだ名を決めた。
「流ちゃん…ですか…?」
「なんか可愛くない?」
「は、はぁ…」
僕はスープを全て飲み干した。
「華さんありがとうございます」
「いえいえ〜♩」
「では、僕は失礼します」
「ちょっと待てぇ!」
華さんは僕の腕を掴んだ
「なんでですか?」
「流ちゃん、君は今居場所があるのか?」
「居場所というと」
「流ちゃんは今、家があるの?ってきいてるの!」
正直野宿をしていられるのもいつまでか。
「…」
「それなら、しばらく私の家にいなよ!
ウェルカム! ウェルカム!」
「けど…迷惑ですよ…」
「私が迷惑じゃないからおっけー!」
華さんは陽気にそう答えた。
「あと私、ずっと独りだったからあなたを弟子にしたいの!それにまた能力が暴走したらいけないでしょ?」
「…」
その通りだ。僕は今、帰る家もない。それに能力を扱えたら多くの人を助けれる。
それなら僕は華さんの…
「わかりました…弟子になります」
「本当!?やったぁ!」
華さんは子供みたいに嬉しがってた。
華さんの笑顔はまるで太陽のようだ。
華さんの笑顔を見ると僕の心がぽかぽかしてくる。
「それから弟子になったからには先生って呼んでね」
「は、はい」
「後、能力もきちんとおしえるよ!」
「えっ本当…ですか?」
「もちのろん!」
「ありがとうございます…」
ボソッと僕は言った。
「え、なんか言った?」
華さん…先生は不思議そうな顔をしている。
「い、いえ!なんでもないです!
あと、お風呂入っていいですか?」
「いいよ!」
「あ、一緒に私と入る?」
「遠慮しときます。」
(な、なな、何を言っているんだ!?)
「えぇ‥酷いよぉ」
「とりあえず、お風呂借りますね。」
「行ってらしゃい」
お風呂の中、体を洗いながら考え事をしていた。
「この先どうなるんだろう」
お風呂上がり、服を着る。
「先生、お風呂上がりましたよ」
「へ〜い」
そんな感じで僕は先生との生活が始まった。