第二話 能力解放
あの後、村で唯一の図書館に行き、僕はある本を見つけた。内容は…「能力についてや能力の種類」そして、「能力の解放」についてだった。
よく読み込み、脳に刻み込んだ。
僕は家に帰り、さっそく本に書かれていることを自分の部屋で実践してみた。
全身に力を入れて…
「能力解放」
その時だった。体中から水が出てきた。
「なにこれ!」
部屋は一瞬で水浸しになった。
そして… 暑さも寒さも感じなくなった。
「超異能力」
能力を無理矢理開放したとき起こる、異常能力だ。
僕は無意識に超異能力を水魔法を獲得し、使っていたのだ。
「ちょ、どうしたの…って?え?」
大きな音に気付いたお母さんが走って僕の部屋に入ってきた。
お母さんは酷く驚いている。
「お母さん、たすけ…」
「近づかないで!化け物!」
「なんで…?」
指先から霞んだ水がしたたる。
僕が生まれる前の母さんの心配が的中したんだ。
「待ってよ、お母さん。待って。」
「どっかへ行ってちょうだい!」
(あ…いや…まって…)
その日の夜僕は初めて野宿をした。
何も考えずに過ごしていたらもう朝になっていた。
超異能力のことをお母さんが周りへ広めたらしく、朝は殺されそうになって目が覚めた。間一髪だった。その後も逃げて逃げて逃げた。殺されないために必死だった。
きっと夢だ。そう思い込んで自分の心を守った。
でも友達なら助けてくれるかもと思い、公園へと希望を抱いて行った。
公園で友達たちが遊んでいた。
そっと声をかけてみる。
「おはよう」
「化け物近づかないでよ!」
「きもい」
「殺さないで」
「どっかいって!」
「親が可愛そう」
「死ねよ」
友達も親もみんなみんな僕を嫌っている。
パリンと心が割れた音がした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
それからは、あまり覚えてないな。
多分村から離れて死のうとしたんだと思う。
「足が…重い……」
後から聞いた話しだけど、このときの僕は目がとても冷たく服もボロボロでそれはそれは醜かったらしい。
だが僕のどん底の人生に一筋の光が現れた。
ドンッという音と一緒に僕はぶつかった。
「ご、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「すみ…ません……」
僕は去ろうとした…その時
「待ってください。なんで泣いてるのですか?」
「…?」
確かに瞼が少し冷たいとは思っていたがそれは涙だったのか。彼女に言われるまで気づかなかった。
「とりあえず、私の家に来てください」
「え…でも……」
「来てください!」
そのままぐいぐいひっぱられて、彼女の家に連れて行かれた。
もう僕なんかどうでもよかったんだ…だから彼女についていってしまったのかもしれない。
でも…
僕の運命の歯車が変わったのはこの時だった。