プロローグ 始まりのゲス
俺の名前は青山 一。
高校時代のあだ名は”青山一丁目”だ。
そう、駅の名前だ。
通学の電車で半蔵門線を使う奴からつけられた。卒業してからも一丁目だの、半蔵門線とかで呼ばれていた。
そんな俺は、死んでしまった。電車に飛び込んで死んだのだ。
それで、よくわからないが、今は白い空間にいる。
なぜ自分が死んだことに気が付いたか?
それは、目の前にいる女神と自称する者が説明してくれたのだ。
最初は何かのテレビドラマの撮影に巻き込まれたのかと思った。女優かと思ったんだ。ただ、服装がな......。その......。大変美しい女性なんだが、白いローブがその......。どエロいんだ......。
ほとんど隠していないじゃないか!
その女性は笑顔で突然、私は女神です。 と仰るのだ。これがアダルトビデオだったならば、俺は間違いなくDTを卒業していたはずだ。
まぁ、話がそれてしまったが、その女神が色々と話してくれた訳さ。信じたくなくても、彼女の話を聞いた途端に、脳内で生前の行動がビデオの様に回想されるんだ。
死ぬ直前は相当、酔払っていて、
「日本は腐っているぅううう!!」
と叫んでダイブしたらしい。
ぐちゃぐちゃになった死体も
俺自身が脳内回想で確認した。
女神
「はぁ、あなたはなんて迷惑な人なの......」
何か言っているよ、この女......。まぁいいや、とりあえず今日のおかずには困らないな。
女神
「先から、聞いていますか?」
ん? ごめん、あなたのパイオツのせいで話が入ってきません。
女神
「はぁ、もういいや、あなたには罪を償ってまらいます」
女神
「あなたは、現世の人から恨みを買い過ぎている」
......? どういうことだ?
女神
「声を聞かせてあげますよ」
どういう意味だ?
っッツ! なんだ? 直接頭に何か流れ込んでくる......?
テレビのコメンテーター
「全く、最近の若者は身勝手すぎませんかね!?」
なんだ? 昼のニュースで司会とか務めるアナウンサーじゃん......。
女子学生
「はぁ? 遅延とかキモ過ぎるんだけど! マジで死んでほしいわー」
俺はもう、死んでいるけどな......。
駅員
「はぁ......今度は酔っ払いかよ......こいつのせいで遅延したのに、何で俺が謝らないといけないんだよ......」
それは、もっともだな。だが、それが正社員の仕事だ!!
女神
「なに開き直ってんですか?!」
ワイ
「うお! 心の声が聞こえるのか!!」
女神
「私は女神ですよ? あなたのゲスイ声を聞くなど朝飯前ですよ」
え? じゃあ、服がエロいとか、おかずにしようとか聞かれたのか?
女神
「はい、まぁ人間如きにいちいち反応することでもないのでスルーをしましたが」
え? マジで? なら、その......人間如きにおっぱい揉まれても反応しない感じ?
......。
触りてー。
女神
「虫に裸を見られても気にはしませんが、虫に触られて喜ぶ女性はいないでしょう?」
女神
「あまり、調子に乗ると殺しますよ?」
さーせん、まぁ俺、死んでいるけど......。
女神
「はぁ、あなたと話すと疲れます」
女神
「もう、面倒なので異世界転生についての説明は省きます」
お? 最近、流行りのやつだな!
さぁ、俺にチートスキルを授けてくれ!!
俺は異世界でハーレムキングダムを築き上げる!!
女神
「あなた......何を勘違いしているの?」
?? だって、俺は現世では30歳のフリーターの負け組で、しかも童貞だ!! これから俺の逆転が始まるのだろう??
女神
「本来ならば、私の奇跡で強力なスキルを与えて人生をやり直させてあげるところですが、先ほども言いましたが、あなたは恨みを買い過ぎています」
女神
「それに、現世で何の徳も積まず、努力もせずに、ダラダラと怠惰な生活をして、最後は人に迷惑かけました」
女神
「よって、あなたはマイナス状態から人生をやり直すのです」
おい! ふざけるな!! 俺よりもクズな人間が異界へ行っているだろう!!
それはいいのかよ?! 俺だけなんでマイナスからなんだよ?!
女神
「ラノベの読み過ぎです」
女神はそう言い放つと、男の身体は宙へと浮かび上がった。
ワイ
「おいいいいいいい!!! 女神!!!」
女神は冷ややかな視線を送り、一言。
では、頑張ってください。と言って異世界へ送るのであった......。
気まぐれで更新する作品です。よろしくお願いします。