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銀杏通りで

タロットカードと旅をする事になったきっかけがここにあります。

 11月ももう終わりに近い。栞はふと立ち止まり空を見上げた。抜ける様な青空が広がっている。軽く両手を広げ、思いっきり息を吸い込む。そうすると、ゆっくりと空からメッセージが下りてくる。それを充分に受け止め、そしてまた歩き出す。広い舗道の両側に続く銀杏並木が黄金色に輝きながら栞を歓迎しているかの様だ。


毎年同じこの時期に此処を訪れ、そして歩くのである。


『ありがとう~和音さん、私は今幸せです。』そう応えるために!


 栞がその人【和音さん】に出逢ったのは、5年前の同じ11月であった。その頃の栞は、人に心を閉ざし、ただ漫然と孤独な日々を送っていた。両親兄弟もなく、友人も殆どいない、、自分の将来に希望を持つ事も諦めてしまった。そしてそう過ごすうちに、それは栞にとっては当たり前の事にさえなっていった。何の疑問も持たず、苦痛さえも感じない様に、、。


そしてそれには理由があった。栞にはちょっと特殊な能力があった。何故か相手の心の中の声が聞こえるのである。物心ついた時には既に彼女の中にあり、その能力のため、いつも相手とのコミュニケーションが上手くいかなかった。特に子供時代は、相手から嫌われる事が多かった。相手の気持ちが分かるため、それをそのまま言葉にし、気味悪いと思われてしまうのである。

だから栞はずっとその力を隠し、何も分からない振りをして生きてきた。そうしないと他の人とは上手く関わっていけないと充分に悟ったから。

いつの間にか、、本当の心を隠し、孤独の中で生きるのが習慣になってしまっていた。


そんな栞に『あなたの能力はギフトなのよ』と教えてくれた人、それが和音さんであった。


 私達は偶然此処この青山通りで出会った。美しい銀杏並木を横目に、二人とも空を見上げたまま歩いていた。そしてすれ違いざまに肩がぶつかったのである。

「すみません、ついうっかりしてしまって、、。」

「いえ、こちらこそボンヤリしていてごめんなさい。」

どちらともなく謝り、その時はそのままお互いに会釈をして別れた。

それだけであれば、ただのすれ違いで終わったのだが、私達はその後また直ぐに再会する事になる。そしてそこで、私はそれまでの自分の生き方が一変するとは、、この時は露ほどにも思わなかった。






栞に力をくれた人は?

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