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第4話 怒りの救出ー5

        3 戦いの末に


 レディの足元には、簡易ベッドが設置されていた。その上で、ほぼ虫の息となった姿の……雅が横たわっていた。

 おクウも、その側で寝かされている。

「すぐ、警察病院へ連れて行くからな」続いて工藤のせわしない声も聞こえてきた。

 そんな中、レディは事切れようとしている雅をじっと見て、やりきれない思いに耐えていた。

「お前は……」この男のことは、まだよくは知らない。レディにとって多少の縁を持った者だ。ただどこにでもいる、ちょっとやんちゃだが、罪なき若者であった。それなのに、虫けらみたいに命を奪われようとは……。レディは、心の底から怒りが湧いてくるのを感じた。彼女の拳に自然と力が入る。

 一方、工藤も、何故か浮かない顔を見せていた。(部下である彼女たち一人一人の変化を具に見ていたからか?)そして唐突に、

「M、あいつに顔を見られちまったな?」と訊いてきた。

 どうやら、彼女が担うべき今後の捜査活動までも、先読みして心配していたのであろう。

 レディは事も無げに、「……ああ」と答える。

 すると今度は、「まあ、しょうがねえな。学園に通うことはもうご法度というわけで、Mさんには休んでもらおうか」と言って急に場を茶化し始めた?

 はて? 突然どうしたというのだ。今にも敵が攻め入ろうとしているのに、まるでこの逃走劇が終わってのんびりしているかのような口調で話したという。これには、当然ながら違和感を持った。

 セブンも、呆れ顔だ。

 そのため、無口な彼女でさえ思わず口を開いたか?――殊更警戒感を抱いていたのだろう――

「敵がそこまで追って来ていますよ!」と。

 けれど工藤は、それでも動じず、「そう慌てるなって」と言っただけだ。

 全く、真意が見えてこない……

 結局セブンは、不服そうな表情を見せて、もう一度念を押す羽目になったよう。

「……どう対処するんですか?」

 だがその後、彼の平常心の原因が分かったような? 何台かの擦れ違う対向車を目にしたのだ。〝それも、サイレン音を姦しく鳴らしながら走り抜ける車両……〟

 そう、要はパトカーが登場したというわけだ! 装甲車も引き連れて数台がトラックの後方へと駆け抜けていった。

(なるほど、流石にこれを目にしたら、納得せずにはいられない)

 ただ、そうなると――交戦の幕引きになったとはいえ――ダメ出しを言わざるを得ないか。

 セブンは、「警官を呼んだんですか? 慣例では来れないはずですよね」と言って工藤をツッコんだ。

 とはいえ、彼の方は、「さーて、俺は知らんよ。誰か通報したんじゃねえか。ドンパチやってるってな。ただし、ちいとばかり、おせえけどなあ」と答えたという。どう見ても……惚けた様子で。



 そしてその頃、機捜隊UPの後を追いかけていた敵車でも、

「だめです。皇虎さん。これ以上進めません」と運転手がその存在・・に気づいたようで、隣の助手席に座る皇虎に向かって弱弱しく言った。

 だが、そうなると、「うぐぐっ、またも邪魔者が現れたかッ!」皇虎の怒りが爆発したことは言うまでもない。前にあるダッシュボードを物凄い音を立てて叩き壊してしまった!

 忽ち車は、衝撃で急停車を余儀なくされ、スリップしたタイヤからは白煙がもうもうと立ち昇った。おまけに、その驚異的な破壊力を真近で体感した運転手が慄いた顔を見せて固まるという始末。ここでも、常人には想像し難い力を見せつけたのであった。

 ただし、前方からパトカーが、もう数百メートル付近まで迫って来ているのだから、呑気・・に憤慨している場合でもなかった。どう踏んでも、元来た道を逃げ帰るしかなかったのだ!


 強面どもは、急いでユーターンを試みた。

 そうしてそそくさと、山道を走り去っていったのであった…………



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