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悪夢フラストレーション  作者: 源小ばと
22/54

22.悪夢専門家

「な、なに?もしかして兎頭…?」


「いや」


身を硬くしてイコが呟くと、即座にヴァニーユが否定する。


「ゼムとの回線が切れたってことは、外部から…」


そう続けた言葉を遮るように、2人の前に光の塊が現れた。


光の塊は徐々に2つの人影に別れていく。


1つのシルエットは男性だろう。


背が大きく、体もがっちりとしている。


もう1つは少女だろうか。


身長が高い方ではないイコと比べても、かなり小柄だ。


シルエットは顔にゴーグルをつけ、黒いローブを頭から羽織った男女の姿になるが。

しかし、立体映像といった感じで、時折チカチカと発光したり、砂嵐のように乱れたりする。


「ヴァニーユ、見ぃつけた」


少女はゴーグルをおでこまで上げながら、ニヤリと笑う。

その声は砂糖菓子のように甘ったるく、口元にはアンドロイドたちが美しくないと忌み嫌う、八重歯が覗いた。


「…なんでお前らがここに」


「面白そうな匂いがしたから。あたしたちが気がつかないとでも思ったぁ?」


「ショコラさん」


隣の男性がゴーグルを上げ、彼女をたしなめた。

浅黒い肌の精悍な顔つきだった。


「久しぶりだな、ヴァニーユ」


「リモーネ、どういうことだ。お前たちの仕業なのか?」


低音で挨拶をした彼にヴァニーユは剣先を向ける。


リモーネと呼ばれた男性は両方の手の平を向ける。


「待ってくれ。俺たちは関係ない。こっちも戸惑ってるんだ」


「信じられるか」


「あの…話が見えないんですけど」


思わずイコが口を挟むと、ヴァニーユはあからさまに嫌な顔をした。


「こいつらは裏切り者なんだよ。悪夢専門の魔法使いに成り下がったやつらだ」


「あらぁ、だって合理的じゃない?」


ショコラは両手を胸の前で組んだ。


「人間や他の魔法使いたちに悪夢を見せて、その相談に乗ってあげて、お金をもらって、悪夢を解除する。良いビジネスだと思うの」


「黙れババア」


「バ…!」


ヴァニーユは一言でショコラを黙らせる。


「イコ、こいつはこう見えてお前より20以上は歳上だからな」


「えっ!!」


どう見ても子供にしか見えない。


「こんのクソガキ、女装男!!」


甘い声のせいか、怒鳴ってもあまり迫力はない。


「そうはいっても、今は人間や魔法使いの数は激減だ。夢を見せる相手もいない、自然に見る相手もいない。俺たちは廃業状態だ」


リモーネはイコに言い訳をするように語り、


「お前もそうだろ、ヴァニーユ。その力を使うこともほとんどなかったはずだ」


「…ああ」


「最近おかしな事があった。人に悪夢を見せるために長年飼っていた魔物がいなくなった。魔法で何重にも結界を張っておいた檻からだ」


「こんなことは一度もなかった。それで、あたしたちは最初はヴァニを疑ったわけ。あんたが逃したんじゃないかって」


落ち着きを取り戻したショコラはゆっくりと腕組みをする。


「違うってすぐわかったんだけど…あんたとゼムの坊やがやたら動き回ってることが気になって」


「まさかアンドロイド用の夢が悪夢に汚染されてるとはな。しかもここはかなりの濃度の濃さだ。遠くからでも、仮の形で侵入できた」


「あたしたちは悪夢専門でやってきたから、ビンビン来ちゃったのよねぇ」


そんな2人の背後に何か見えた。


「兎頭!」


3匹立ち尽くしてる姿を確認して、イコは叫んだ。


次の瞬間。

激しい光と爆風を受け、身体が浮き上がり一気に吹き飛ばされた。


水流にでも巻き込まれるように…!


ドスン!


体に固い感触を感じ、目を開けた。


床に投げ出されている、自分。


心配そうに覗き込んでいるゼム。


頭をかきながら、尻餅をついているヴァニーユ。


ベッドにはリーグの姿…。


夢から部屋に帰ってきたのだ。


「強制的に押し出しやがった…」


ヴァニーユは悔しげに呻いた。






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