表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、元兵士、奴隷買いました。  作者: 岩塩龍
第六章・決戦。
97/203

95話・魔法戦。

 ―レフィ=パーバド―


「解」


 麻理さんが、そう言うと、辺りが明るくなった。つまり、先ほどの魔法が解除された。完全な暗闇の中にいたのもあって、少し眩しい。声のした方を見て見ると、麻理さんは、いつの間にか、巫女服姿になっていた。


「その姿は?」

「まぁ、気分転換というのもありますが、これは、戦闘服のようなものです。少しくらいなら魔法も弾きます」


 なるほど……でも、何故巫女服……というのは突っ込まないでおこう。というより、そんな余裕なんかない。今も、男からの攻撃は続いている。まるで機銃のように細かく小さい火球が大量に飛んできている。私は、暴風の盾で、麻理さんは、先ほど説明居してくれた巫女服の効果かなんかで弾いているが、相手にとって、こんなの攻撃の内にも含まれないだろうし、いずれまた大きい魔法が飛んでくる。

 だから、こっちから打って出なければいけない。


「その風は、速く。その風は、鋭い。……故に、強く屈強な戦士を屠らんとする刃となりうる。その刃を我がもとに……疾風の刃(オウカーンクリンガ)


 私の元に風が吹き、目の前にいくつか風の刃が出現する。


発射(アップファイアン)っ!」


 そして、その風の刃たちを男目掛けて打ち出した。

 この魔法は、攻撃範囲の関係で対象に出来る数が少ないけれど、恐らく私が今使える魔法の中で一番の攻撃力の高いものだ。

 近づく風の刃に対し、男は全く動かない。


「ふーむ……なるほどな」


 しかし、その刃は男に届くことはなかった。


「アイスウォール……」


風の刃は、突如現れた氷の壁に阻まれ、消えた。

 あの男は、どうやら、氷魔法も使えるらしい。


「……よし、こうやるのか」


 男が私に手を向ける。そして……向かい風が吹いた。


「お返しだ、出来ているか分からないがな……疾風の刃(オウカーンクリンガ)……発射(アップファイアン)


 次の瞬間。血が舞った。

 私の目の前には……麻理さんがいた。


「どうやら、あの男は、魔法を盗むことも出来るようですわね」


 麻理さんが血を吐きながらそう言った。……お腹がずたずたに引き裂かれている。

 ふらついた、麻理さんがこちらに倒れて来たので、慌てて受け止めた。


「す、すいません」

「そ、その……」

「大丈夫、今の(わたくし)は、大丈夫ですから」


 と言って、麻理さんは、立ち上がった。


「で、でも、その傷……私を庇ったから……」

「問題ありませんわ」


 と、お腹の傷を指差す。その傷は、徐々に回復していっている。


「そ、それは……?」


 確か、麻理さんは曹駛と違って、一度死なないと回復しないはずじゃ……


「ですから、今の私は特別です。心配なさらないでください……それよりも、反撃、するんですよね、レフィさん」


 その言葉に対して、小さい頷きで返す。


「じゃあ、数秒間、あの男の相手をできますか?」

「え?」

「少し、ほんの少しだけ時間が掛かりますので」


 途端、魔力の波が麻理さんからあふれ出た。魔力圧で、隣にいる私は一瞬くらっと来たが、麻理さんに言われたとおり、男をなんとかしなければいけない。これほどの魔力の波に気付かない訳が無い。

 魔法を使えば、コピーされて逆に使われてしまう可能性がある。なら、近接戦で……

 小さい声で出来るだけ早口で、詠唱をした。全身から魔力を持って行かれる感覚。やっぱり、本来的には、私は風魔法以外を使うのは駄目なのかもしれない。私が使った魔法は……


「ソードメイク」


 土魔法の初歩も初歩。杖を包むように土が現れ、剣の形になって、硬い金属に変化する。解除するまでは、私の杖はこの剣で、この剣こそが私の杖だ。そして、あの男と戦う武器でもある。


「はあああっ!」


 ずっしりとした両手を構え相手に向かって走り出した。相手は、火球をいくつかはなって来たが、暴風の盾がそれを弾き返す。


「とったっ!」


 剣を男に振り降ろす、だが、そう簡単に決まる訳が無い。

 男もまた剣を創りだし、私の剣を己の剣で受け止めていた。


「氷の剣だ、格好いいだろう」


 男は、見た目にそぐわず、子供のような笑みを見せながら、そう言った。


「そうね、あんた以外が使えば格好いいかもしれないわっ!」


 そう、言って一旦間合いを取ろうとした……が、剣が離れない……剣が動かない。まるで、剣同士がくっ付き合っているかのように……まさかっ!


「おいおい、そりゃ酷いってもんだ、この剣は俺くらいしか使えねぇよ、そもそも、この剣を使うための魔力が無いだろうからな」


 これは、氷の剣と私の剣を凍らせて一体化させたとでもいうのだろうか……


「ということでな、まぁ、可愛い女の子を殺すのは心が痛むが、死んでくれ」


 私の背後にいくつもの氷の剣が出現した。


「えっと、なんていうんだっけ? ……確か、発射(アップファイアン)……だっけ?」


 直後、その剣たちが私に向かって発射された。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ