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俺、元兵士、奴隷買いました。  作者: 岩塩龍
第六章・決戦。
95/203

93話・拮抗。

 ―武元曹駛―


 攻撃が届かない。逆に、相手からの攻撃は俺に当たる。だが、俺は瞬時に復活する。それの繰り返しが延々と続いていた。

 魔法などを下手に使うわけにもいかないが、普通に攻撃していても受け止められて、逆に一撃を貰ってしまう。それに、あれ、実に厄介だ。完全憑依していなければ、既に3回は封印されていただろう。一撃を当ててきた後に、包み込もうとして来る。確かに、普通に包まれるだけじゃ、封印術でも何でもないが、賢者の石で包まれてしまった場合、事実何もできないだろうし、それに包まれれば二度と自分の意志では出られないだろう。それは、俺にとって負けということになるのだろう。

 だからと言って、攻撃しない訳にもいかない。

 俺は、またしても、殴りかかる。だが、やはりそれは自由自在に動く賢者の石に防がれてしまう。そして、カウンターでいくつもの棘が飛び出てくる。それを躱すことはせず、後方に向かったいくつも炎を撃ち、そのまま棘に心臓を貫かれる。そして、放った炎の内の一つが俺になる。

 これの繰り返しだ。もしも、この勝負が誰かに見られているのであれば、そろそろ飽きてくるく頃だろう。

 そして、実際にこの勝負を見ていた鷸は実際に飽きて来たのかもしれない。


「ああ、もう、仕方ない。だから、使っていいぞ」


 鷸は、実に不穏な台詞を賢者の石に向かって言った。

 そして……


「了解しました」


 高い声が、賢者の石から響いて来た。

 そして、光りだした……


「レーザー」


 その攻撃は、シンプルで、それでいて、最強だった。

 俺の体は両断された。いや、両断と言っていいのか。実際は、ぼぼ吹き飛ばされた。俺は、瞬時に体を炎化させ再構成する。だが、なんだ、この攻撃は……いや、レーザーの存在は知っている。だが、なんだこの威力は。それに、この発射持続時間。

 直径一メートル以上のレーザーが既にもう30秒以上放たれ続けている。

 そしてそのレーザーは1分くらい経った後、やっと収束した。


「これでも死なんか……」


 鷸が、鬱陶しそうにそう呟く。

 悪いな、生憎こういう体質なのでな。


「なら、まぁ、仕方ない、しばらくは、膠着状態を続けることにしよう」


 その後、また延々と殴っては刺されるの繰り返しが続いた。


 ある一撃が、俺に当たるまでは……



 ―レフィ=パーバド―


「レフィさん……」

「え、えっと、ま、麻理さん……?」

「メアリーとお呼びください、メアリーと呼ぶ努力をしてくださっているのは分かりますが、まだ時折その名で呼ばれますね」

「あ、いや、その……ごめん、なさい」

「まぁ、いいですわ、それよりも、続き……を……しま……しょう……」


 後に行くにつれ声は小さく、顔は赤くなっていった。

 ギシリ……ベッドが軋む音……こんなに大きなベッドでも、軋むんだなぁ……なんて……


 どうしてこうなった……!!


 始まりは、えっと、なんだっけ……始まりらしい始まりなんてなかったような気もするけど……

 ただ、えっと、ご飯を食べただけ……曹駛が行ったあと、部屋でのんびりしていたら、メアリーが来て、二人でベッドに腰を掛けて、曹駛の話でもしていたら……えっと、こうなった。

 ちなみに、今、どういう状況下と言うと……ベッドに押し倒されている。私が、メアリーに……

 えっと、何があってこうなったんだっけ?


 本当にただ会話していただけだったような、えっと、なんで、こうなったんだっけ。


「れ、レフィさんっ!」

「は、はいっ!」

「で、ではっ……」


 な、なにがっ!?

 え、なんで、顔を近づけてきているの?

 その突き出た唇はっ!?


 唇が触れるその直前。

 ピンポーン……

 大分場違いな音が家中に響いた。

 えっと、インターホンなんだけど……何度聞いても、この家とは合わない音だよね。


「……まぁ、仕方ないですし……出てきます……」


 麻理さん……じゃなくて、メアリーは、私の上から下りて、玄関に向かった。

 この時は、まだ、「助かった」としか思っていなかった。このタイミングで家に来た人に感謝したくらいだった。だが、結果的には、この時インターホンを押した人は、いつ来ても嬉しくなかった客人であった。

 それこそ、キスの方がまだいいと思えるくらいに……



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