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俺、元兵士、奴隷買いました。  作者: 岩塩龍
第六章・決戦。
92/203

90話・巨兵。

 ―武元曹駛―


 鷸の後ろに巨大な人影が現れた。

 あれは、幻影なんかじゃない。実体がある。

 直感で、そう思った。そして、その直感は……正しかった。

 俺と透は、落ちてくる、大きな腕を躱した。

 次の瞬間、地面が抉られる。


「少し早いが、あとは、任せた、透」


 俺は、フィンガースナップを鳴らし、俺の作った町と、この町を入れ替えた。


 今、この町にいるのは、俺と鷸……だけのはずだった……


「なぜ、ここに、そいつが……」

「どういうことだ?」

「だから、何故、その馬鹿でかいのはまだしも、他のモンスターたちまで、こっちにいるんだと聞いている」


 確かに、人型のでかい奴は、この世界に一緒に連れて来たつもりだが……あとは、俺と鷸しか連れて来た覚えはない。なぜ、他のモンスターが……


「ああ、これか……これは、俺が連れて来た」


 そう言った直後に、鷸の横に光のゲートが現れ、そこからでかい狼がたくさん飛び出してきた。

 つまり、あいつ自身は出れないが、あいつの操るモンスターはこっちに来れるということか。どういう仕組かは全く分からないがな……ということは、この作戦。半分成功、半分失敗と言った所か。


「面倒くさいな」


 そう思ったまま口にした。

 気づけば、封殺ミツバチに囲われている。ああ、本当に面倒くさい。

 だけども、俺も、過去の俺とは違う。あの時とは、状況も、実力も違う。

 予想通り、魔力はスッカラカンだ。俺は、命を削る。文字通り、寿命を使う。

 詠唱を完全破棄。魔法発動可能。

 代償は、命。


万物爆弾化(オールボンバー)


 俺は、死んだ。まぁ、どうせ生きてようと、爆炎に呑まれて死ぬだろうしな。

 魔法の詠唱の完全破棄。こんなことすれば、大抵は死ぬ。

 だから、あえて、レフィには教えなかった。というか、誰にも教える訳にはいかねぇよな……俺以外使えない訳だし。まぁ、俺も実際あんまり使いたくないし。

 まぁ、俺の場合、死んだところで、寿命が短くなるだけで、大して問題ないんだけど。

 俺は、死にながらも、全てが弾け、真っ赤に染まっていくのを見ていた。


 俺は、目を覚ます。


 状況は……変わりなし……か?

 辺り一面、焦土と化した。しかし……

不自然な山が一つある……その山がボロボロと崩れ、中から現れたのは、鷸……ッ!


「危なかったぞ、曹駛」

「いったいどんなトリックだ? この辺の物は全部爆裂して消え去ったはずなんだが」

「ああ、こいつらはこの辺の物じゃない」

「……なるほどな」


 よくよく見やれば、あの山は、生物のようだ。原型も留めていないため、なんだったのかは分からないが……

 詠唱を破棄したことによって、どうやら威力は落ち、爆炎による爆弾化の付加能力も全くなくなっていたようだ。まぁ、一撃で終わるとは最初から思ってはいなかったが。


「今ので、大分持っていかれたようだな」

「今のは失言じゃないか?」


 数に限りがあるって事だろ。それも、今のでだいぶ減ったって。


「ああ、いや、問題ない」

「どういうことだ」

「おまえが、こんな技を軽々しく放てるなら、数に入れようといれまいと関係ない奴らばっかりだからな」

「おい、それも、失言じゃないのか?」

「……さあな」


 どうやら失言だったらしい。鷸は「さぁ、続きだ」と雰囲気を切り替えるかのように、ドラゴンを呼びやがった。それも、ビル並みのを3体も。馬鹿じゃねぇの?

 俺は、ランスとシールドをその辺に投げ捨てた。

 そして、肉体強化の魔法を自分自身を対象に唱える。

 目を回す。世界が回る。一秒にも満たない時間が経ち、俺はドラゴンの胸の前にいた。


「喰らえ」


 俺は、ドラゴンの胸を殴った。

 バツンッ!


「音だけは、凄いが、人のパンチがドラゴンに効くわけないだろう。馬鹿か?」

「まぁ、焦るな、よく見てろ」


 確かに、鷸の言うとおり、見た目は何の変化もない。……見た目はな。

 だが、数秒後ドラゴンは突然苦しみだし、その場に倒れた。

 絶命したのだ。


「おお、成功」

「成功? 何をした」

「内緒に決まっているだろ」


 俺の視界は三度回る。

 バツンッ! バツンッ!

 その後、残りのドラゴンもその場に倒れた。


「さぁ、お次は、どいつだ?」


 珍しく、第一ラウンド先取だ。

 さて、このまま第二ラウンド行きましょうか。


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