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俺、元兵士、奴隷買いました。  作者: 岩塩龍
第五章・元兵士は戦う。
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89話・元兵士は三度死ぬ。

 ―武元曹駛―


 俺は、深夜帯、こっそりと抜け出して、フォルド王国に帰ろうとしたのだが、帰れなかった。

 だって、テンチェリィががっしりと俺の腕に抱き着いていて離れようとしなかったからな。

 仮眠をして出て行くつもりが、目を覚ましてビックリ。俺の左腕には、全裸のテンチェリィが抱き着いているではないか。

 なぜ全裸、そして、何故俺のベットの上に、そして、何故俺も全裸。何があった、何をした。

 言いたいことは沢山あるが、まずはパンツとズボンをはいた。朝こんなシーンを見られたら、またロリコン扱いされて、殺されるからな。危ない危ない。上は、テンチェリィが抱き着いているため服を着ることが出来なかった。テンチェリィ自身にも服を着せることは出来なかったが、そこは知らぬ存ぜぬを突き通せば、即死は免れ、致命傷で済むだろう。


「よし、一件落着。でも、またなんでこんな状況なんだ?」

「そうね、それは、私が一番聞きたいわ」


 俺は、返って来るはずがない返答が帰って来たことに対し肩を震わせた。


「え、えっと、な、なにか用でしょうか……」

「まぁ、聞きたいこととかあるけど、まずは一つ」

「はい」

「死ねっ☆」

「はいっ☆」


 俺は、レフィによって首を絞められ、殺された。




そして目を覚ます。

 窓からは光が射しこんできている。もう朝か。


「お兄ちゃん、おはよう」


 全裸のテンチェリィが全裸の俺にそう言う。いや、だから、俺が寝ているうちに何があった、何をした。


「おはよう、ご主人様」


 あとついでに全裸のクリムもいた。えー……

 右にはクリム。左にはテンチェリィ。

 そして、更についでに、上には麻理……流石に服は着ていたが……


「ああ、おはようございます、ロリコンお兄様」

「う、うん、はい……」




 その後、一回死にかけたが、まぁ、大丈夫生きている。

 朝ご飯を食べた俺は、レフィの拷問から逃げるように、フォルド王国に戻った。

 そして、透と落ち合う約束をしていた、仮修練場にやって来た。


「ハァ……なんか、朝から無駄に疲れた」

「何があった」


 ついつい、ぽろっと出てしまった言葉に、透が反応した。

 律儀に外で待って居てくれたらしい。悪いことをした……


「まぁ、いろいろ」

「そうか。……で、その色々の所為で、儂は一日待たされた訳だが」

「ああ、まぁ、すまん。不慮の事故が……」

「……まぁ、あえて追及はしないが、どうせ大したことでもないだろう」

「まぁ……」


 否定はしない。言って内輪揉め。大したことじゃない。


「姫は……」

「ああ、無事だ……二人ともな」

「そうか……」


 まぁ、それ以上に言葉はなかった。

 理由は簡単、それは、小刀が飛んできたからだ。


「意外と食いつくの早かったな」

「ああ、やっぱり罠だったか」

「それにしてもどういうことだ?」

「何がだ?」

「どうして……、俺ならともかく、どうしてお前が……


 当時となんら変わらない見た目でいられるんだ?


 一体どういう手品だ、偽物か? あの土塊人形的な」


「違うな」


 男はそういった。鷸は、当時の姿のまま、そう言ったのだ。

 これ関しては、考えていなかったぜ……まさか、相手も何らかの老化対策があったとはな……


「おまえは……透か」

「やっぱり、儂の事は分かるのか」

「ああ、そして、曹駛か……見覚えがあると思えば、同期の兵だったのか」

「どうやらそのようだな」

「まぁ、まずは、勧誘しておく。二人ともな……どうだ、一緒に……」

「誘うの下手くそだな、お前。せめて、成功した暁には、とかなんとか言ったらどうだ」

「別に、このプロジェクトの目的は掌握ではないからな。あくまで原点回帰に過ぎない」

「原点回帰?」


 そんなことに意味があるのか?


「ああ、原点回帰だ。ただ、それだけのためにやる」

「その意味は?」

「ない」


 ない……だと……


「それじゃあ、やる意味なんて」

「さぁな……ないかもしれない。だた、いつかやらなきゃいけないこととも思っている。このままでは、何時まで経っても、人間はこのままだ。今の技術は過去に劣る。過去に劣る未来があっていいはずがない」

「……つまり、そのための革命か」

「革命ではない……が、そちらから見たら革命なのか」

「そうだ」

「そうか……」


 その会話は、いたって普通の会話だった。どこにも誰にも、殺気はない。だが……


「じゃあ、お前たちは仲間になってくれないのか。曹駛、透」

「ああ」「まぁ、味方にはなってやれん」

「……残念だ……本当に」


 鷸は、本当に残念そうに俯いてから……殺気を放ってきた。


「仕方ない、なら、お前らを倒さなければいけない」


 鷸の後ろに、巨大な人影が浮かんだ。



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