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俺、元兵士、奴隷買いました。  作者: 岩塩龍
第四章・俺、ですか?
81/203

79話・何、あいつが。

 ―武元曹駛―


 俺は、その国であったことの覚えている限りを透に話した。


「ふむ、だが、前半のあの洞窟の話はともかく、後半のカーヴァンズ公国の一件それを儂に話したということは、今回の一件と何か関係があるのか?」

「ああ、ある。大ありだ」


 俺の推測通りなら、関係がある。

 それも、大分な。


「恐らくだが、スミ=キ=フォルジェルド姫を裏で操っているのは、そのレコンストラクションJの関係者だろう。そして、コイチ=キ=フォルジェルド姫の暗殺はきっと、そのその一環だろう」

「なるほどな……じゃが、証拠は?」

「無い……訳じゃない。が、ほぼほぼ勘だな。あいつらは、まず国のトップを狙うだろうという俺の考えが証拠っちゃ証拠だ。まぁ、そりゃあ、証拠にはならないだろうし、やっぱり勘と思ってくれていい」

「そうか……じゃが、可能性は頭に置いておいた方がいいじゃろうな」

「そうしてくれ」


 あいつらは、恐らく超人集団。あそこまで、人の心を操る精神操作の術を使うやつに、多数のモンスターを操ることのできる謎の力を持つやつ。俺が知っているのはその二人だけだが、その二人にあの国は壊滅寸前まで追い込まれた。奴らがどれくらいの組織なのかは詳しくは分からないが、俺の推測では、少数精鋭だろう。

 こっちには、ちゃんとそう思う理由がある。まず、少数だろうと予測した理由だが、もし大多数の人数で集団を組んでいるとしたら、俺なんか使わずとも、何人かスパイとして国に忍ばせておいた方が、暗殺に関しては確実に仕留められるだろう。だが、それをしない、もしくは出来ないと言う事は、大して人数がいないと言う事だ。もちろん俺が鈍いだけで、実はいたかもしれないが、あくまで俺の感じた限りでは、スパイのような奴はいなかった。

 まぁ、あの女に操られている奴は、俺以外にも数人いたようだが。

 精鋭という部分は言うまでもなくあの二人がそれを証明してくれている。

 二人とも能力はさながらに、その能力抜きで見た純粋な強さの面でも、めちゃくちゃ強い。戦った俺だから分かる。

 あいつらは、俺よりも強い。


「それよりも、儂はそれよりも一つ気になることがある」


 右手の人差し指を立ててそう言う。

 なんだその動作、他の人になられてもなんとも思わないが、なんかこいつにやられるとイラつくな。その喋り方に、その動作は、大事な話をしているのに、ふざけられているみたいでイラッと来る。まぁ、それは、若い頃の透を知っているからこそなのかもしれないが。


「なんだよ、一つって」


 ちょっとイラついた俺は、同じことをやり返してやろうと、鏡写しになるように、俺も左手の人差し指を立ててやろうかと思ったら、気づかぬうちに左手も食われていて無くなっていた。そして、俺の両腕を食ったその張本人は俺の股の間に座って、俺を背もたれにぐーすかと寝ている。くっそ、可愛くなかったら殴っていたぞ。殴る手が無いけど。


「そうだな、それよりも大丈夫なのか? その腕」

「まぁ、気にするな、激痛が走るだけだ。それよりも大丈夫なのか? 俺の両腕から流れ出る血でこの部屋血みどろなんだけど」

「それは……あまり大丈夫ではないな、じゃが、まぁ、いい」

「そうか」


 俺の足元や俺が腰かけているソファーは、も赤黒くなっており、さながら殺人現場だ。

 まぁ、いいか。透の部屋だし。


「で、なんだ、気になることって」

「ああ、お前は、忘れているようじゃな。あの話からしても」

「何をだ……」


 勿体ぶるなと、内心では、悪態づく。まぁ、透だし。なんで第19期兵になれたのかも謎だった奴だし。


「第19期兵の儂以外のやつの名前を、外見を、特徴を、な……」


 ……そうだな。ああ……そして、ここでそれを出してきたと言う事は、ああ、なんとなく予測出来るぜ。まぁ、元々、その可能性は予測していたんだが……やはり、そう言う事なのか。


「鷸陽々は、儂らの同期じゃ……つまり、お前と同じタイプの人間、と言う事だろう。そのモンスターを操ると言う能力は、恐らく、お前と同じで与えられた能力に違いない……」


 そうか、やっぱりな。

 ああ、鷸を見た時に、どこかで見た事があると思った。それに、あいつも俺の事をどこかで見た事があるというようなことを言っていた。

 そして、あの普通ではあり得ない能力。

 可能性はあった。だが、まさか、本当に俺達と同じ19期兵だったとは……

 それと、もう一つ。

 もしかするとだ、あまり考えたくはない。だが、もしかすると……あいつ以外にも、まだ、あの組織にはいるかもしれない。

 フォルド王国第19期の元兵士が……


「それと、どうやら、鼠がいるようだな」

「ああ」


 扉の向こう、盗み聞きしている奴がいる。実力は……まぁ、両腕のない俺でも倒せるくらいか……いや、それはまずいかもしれない。それは、あの女に操られている可能性があるということだ。俺の、少数精鋭説が正しいならな……そして、それがどういうことかと言えば、あの女がもう既にこの国に入っていると言うことだ。

 やべぇな……こりゃ……

 奴らと俺の戦いも第二ラウンド開幕ということか。

 大分期間が開いちまったが、次は、勝つ。

 ああ、勝ってやる。次は、守ってやる。そのために身に付けた力だ。








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