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俺、元兵士、奴隷買いました。  作者: 岩塩龍
第三章・兵士ですか、お断りします。
37/203

37話・帰宅ですか、いえまだです。

 ―武元曹駛―


 (あきら)と別れた後、俺は、姫様たちの元に向かった。

 すると、姫様たちは、何やらコソコソと話し合っているようだった。

 レフィが、俺に気付いたのか、こちらに向かってきた。


「一体、なんの話をしているんだ?」


 コソコソ話の内容が気になったので、レフィに尋ねてみる。


「まぁ、色々よ。でも、大きく分けると二つ。一つはあんたの事、もう一つは帰る手段」

「ああ、そんなことか」

「そんなことって、両方とも大事な事でしょ、まぁ、あんたの事は、なんとか説明しておいたし、秘密にしておくようにも言ったけど、帰りの手段は、まだ話途中よ」

「まぁ、帰りの手段は大丈夫だが……って、このことはみんなに伝えるべきか」


 俺は、レフィと共に、姫様達のすぐ近くまで行き、口を開いた。


「ああ、その、帰りの手段は大丈夫だから安心しろ」


 三人は驚きの表情を見せるが、サキは、少し考えて、その手段が分かったようで落ち着きを見せ、テンチェリィは別に驚いても何ともいなくて、ただリアクションを取っただけのようであったが、姫様は、未だに少し戸惑いが見える。


「ど、どうやって帰るというのでしょうか?」

「はい、それは、テレポートでビューンって、帰ります」


 と、なんか、微妙に砕けた口調で答えた。


「でも、テレポートは、長距離移動が難しいんじゃ?」


 レフィが、そう疑問を口にする。

 まぁ、そりゃ魔法の知識があるやつなら分かる。

 長距離テレポートは、無理だ。

 目に見えないところまで移動するんだ。下手したら、上空に出たり、地中に出たり、水中に出たりと、何が有るか分かったものではない。


「ああ、だから、出来ない」

「どういうことよ」

「いや、まぁ、普通にやったらできない。けど、転移先に魔法陣が有れば、話は別だ、まぁ、魔法陣を設置するのに物凄く時間が掛かるから、俺が魔法陣を設置してある個所は10カ所もないくらいだけど、俺の家に一つ設置してある」


 まぁ、目に見えなくても、魔法陣さえあれば、話は別だ、その付近の安全なところに自動的に召喚してくれるからな。

 転移のサポート器具のようなものだ。


「それに、サキ、お前、まだあの家に住んでいるんだよな」

「ああ、そうだ」

「それなら、お前と姫様はそっちに届ける。そっちの方にも魔法陣が設置してある」

「そうか、それなら、何時でも私に夜這いをかけれるな」


 サキの最後の言葉は無視するとして、ひとまず、帰る方法の説明を終えたが。


「じゃあ、今すぐ帰りましょ、曹駛」

「いや、それは出来ない、ここから数日間、俺達は無人島生活をしなければいけない」


 こっちの説明をしないといけない。


「理由としては、行方を暗ますためだ」

「どういうこと?」

「まずは、姫様には酷な話かもしれないが、事実を伝えなければいけない」

「どういうことでしょうか」


「姫様は、今、命を狙われております、そして、その首謀は、スミ=キ=フォルジェルド第二王女です」


 姫様は動揺し、ふためく。

 きっと、悪意に触れてこなかったのだろう。

 しかし、それも、王位継承の4文字が見えてくる歳になってくれば、話は別だ。

 スミ=キ=フォルジェルド派閥の貴族たちはきっと、殺ししてでも王座を奪いたい。

 スミ=キ=フォルジェルド第二王女は、きっと派閥の頭が切れる奴に言いくるめられでもしたのだろう。


「そんな……スミが……なぜ……」


 姫様の瞳が潤む。


「姫様……」


 俺は、本当はしてはいけないことだし、国にばれたのなら、最悪打ち首だってあり得る行為なのだが……


 姫様をそっと抱きしめた。


 まぁ、気分としては、父親の気分だろうか。

 年齢的にも、姫様くらいの子を持っておかしくはないし。


「曹駛……さま?」

「大丈夫、スミ=キ=フォルジェルド様もきっと本意ではないはずです、きっと、過激派の誰かに、言いくるめられでもしたのでしょう」

「………」


 姫様は、静かに泣いていた。




 姫様の瞳が乾いた頃。


「さてと、話の続きだ」


 俺は、話を切り出した。


「今、スミ=キ=フォルジェルド様を説得しようとしても無理だし、なにせ、第二王女であるからにして、一般人である俺から何かを仕掛けることは出来ない」

「まぁ、確かにな」


 サキが相槌を打った。


「まぁ、干渉できるのは、私と姫様くらいだろうが、私一人で同行する自信は無いし、姫様が、行くのは身を危険に晒すだけだ」

「ああ、そうだ」


 今度は俺が相槌を打った。


「だから、今、俺達が行方不明の間に作戦会議をする。これからどうするかの……な……と、言っても、俺は何をするか大体決まっている訳だが、それはまだ言えないもう少し後になってからだ」

「そうか、では、そのための無人島生活というわけだな」

「ああ、幸い敵は全滅、それに雨風凌げる建物まで残してくれている」

「そうか、まぁ、ここで暮らすと決めたからには、食材を取りに行かなければな」


 そう言って、サキはどこかに向かって歩いて行った。


「まぁ、サキの言うとおりだ、だから、俺も食材を取ってくる。レフィは、一応、念のため、テンチェリィと姫様を守っていてくれ」

「解ったわ」


 まぁ、食材探すなら、サバイバル経験のある俺とサキが一番いいだろうし、姫様とテンチェリィを守る人がいないと、姫様が知らぬ間に暗殺されてしまったり、またテンチェリィが捕まったり、するかもしれない。

 それに、俺とサキはこう見えてサバイバルの知識はすごい。数年はサバイバルして過ごしたからな。

 という事で、俺達の無人島生活が始まった。


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