190話・アタマと巨大組織
遅くなったうえ、かなり短いです。スイマセン。
出来るだけ早く更新したいものです。
―レフィ=パーバド―
曹駛は曹駛で動いているらしい。まだ、この組織を追っている。
そして、それは結構進んでいるようだ。情報も大分集めているようにも思える。あの国に訪れていたことや、交戦の痕跡などがその根拠だ。個々の位置をつかむのも時間の問題だろう。
私もそれなりには、情報を集めたが。残り一つの情報がなかなか手に入らない。というか、わからない。ほとんど情報が手に入らないのだ。
それは、この組織のトップ轆轤のことだ。
この組織自体いくつか謎は残っているのだが、その全部に何かしら轆轤が関係している。
彼が何者なのか、それが全く以てわからない。この組織の目的は彼に聞いた。それをする理由も、何故それをするかも聞いた。だが、それを行う彼自身が何者なのかそれが分からない。
今日も資料室で、この組織について、この世界についての情報を集める。
この組織は、随分と昔からあったらしい。曹駛も随分と長く生きてるみたいだけど、それ以上。200年以上も昔に作られたらしい。最初は極少数のメンバーだったらしいけど。ある時期を境に徐々に大きくなっている。その時期は、曹駛が兵士だった頃より十数年前。
そして、曹駛と同期の兵士のほとんどがここに居る。その理由は、曹駛と同じ方法で能力を手に入れているからだろう。そして、スカウトされて、所属する。大体そう言う流れだろう。
曹駛も誘われたのだろうか。いや、そんな話は聞いていないし、誘われていないのだろう。見る限り全員が全員ここに居る訳ではないみたいだし、もしかしたら、組織側が特異能力者を探して誘うというよりは、ここに入ろうとするものがこの組織を見つける、もしくは、たまたまここを見つけた者が能力者だった場合誘うという形なのかもしれない。
だが、初期のメンバーが誰かは不明。創始者が轆轤ということしか情報はない。メンバーの詳細が不明なため、今どのくらい残っているかも分からない。
ここには様々な者がいるが、誰がどんな能力を持っているかもよく分からない。ただ、轆轤……あの男の異能は一つだけではない気がする。似たような能力を持っている者はいても、同じ能力を持つ者をいないというような話を聞いた。それが嘘かどうか分からないが、本当だとするなら、彼は不老……曹駛を同じ能力を持っている訳ではないだろうし、似たような能力だとしても、200年以上生きているということは、何らかの延命系や回復、寿命に関わる能力は持っているだろう。だが、それだけでさまざま能力を持っている者を纏めるボスになれるとは思わない。
確かに、カリスマなどで、人々を束ねている可能性はあるが、様々な能力を持っている人たちを纏めるのに、それだけでは不十分だろうし、何より組織を作るうえで、何か魅力が無ければ人々は集まって来ない。その魅力の一つに安全があるとすれば、力を持っていないことには安全は実現することが出来ない。
そう言った組織で、頭を務めるのだ、当然戦闘系の能力の一つは持っているだろう。
曹駛や鷸と同じで、何かの能力を持っていて、それが戦闘系ではないがそれを利用する形で戦闘力を得ている場合もあるから、一概には言えないのだけれども、能力を複数持っている可能性がある。もし単一の能力だとしても、複数の用途に使える、かつそれは強力な物であるということは、なかなか相手に回した際に危険な物であるということだ。
できれば、能力が何なのかは突き止めたいところだが、人に聞いても知っている人たちはいなかった。ならばと思ってこうやって資料を眺めては見たものの、全く分からない。成り立ちも何もよく分からない。ただ、時代時代の人々の生活の状況が記されていたり、技術の情報が多い。轆轤は疎か、そもそも誰がどういう能力かなんてものはほとんど記されていなかった。一部、記されている者はいたが、それは大体、もう既に亡くなった者の名であって、あまり役に立つものではない。
今日はこのくらいにしておこう。紙資料のファイルを仕舞い、窓のない資料室を出る。
廊下の窓から入る日の光が朝を知らせていた。人工光だけの部屋で過ごすと時間間隔がずれるから良くない。そう思いながら、食事をとるため飲食店を目指す。
時間的に朝食をとっている人もいるだろうし、無駄だとは思うが、調べられることは調べよう。




