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俺、元兵士、奴隷買いました。  作者: 岩塩龍
第十一章・私は、ここにいる。君は……
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183話・一旦……

  ―武元曹駛―


 透たちがここを訪れてから、もう2週間は経つ。俺は、ミンと麻理を家に置いてきて、透と二人で国の外に出たのだが……ちっと、不味いな。

 二人を置いてきて正解だった。


 時間は少し遡り朝。俺と透はこの国の周辺を見て回ると決めて、国の外へ出てきた。もしかしたら、魔法などが設置されていて、有事の際。いや、その有事を起こした際に、起動したり、それこそ有事を起こす際に使うかもしれないそれを探すことにしたのだ。

 しかし、半日かけたが見つからなかった。無いなら無いで、それが一番いいのだが。

 特段変わったところはないし、魔法は無かったのを確認したところで、時刻は昼過ぎ。上からの直射日光で暑く感じて来た頃。


「透」


「なんじゃ」


「休憩にしよう。俺はともかく、お前は疲れただろ」


「流石にこれくらいで疲れるほど鈍っていないわい」


「まぁ、いいや、でも暑いし、日陰に入るついでに、森の中も確かめておこうか」


「そうか、お前がそう言うならそうしようか」


 そうして、森に入って数分後、今に至る。


 周りには、盗賊らしき男性たちとわらわらといるモンスター

 見る限り盗賊たちはモンスターの群れと戦っているので、鷸のようにモンスターを味方に付けているというわけではなさそうだが、味方でもないようだ。

 なので、実際は俺&透vs盗賊団(仮)vsモンスターの群れといった形だ。

 ちなみに、数だけで戦力図を作るなら、2対30対1万といった感じ。まぁ、盗賊団とモンスターの群れは数えられないので大体ではあるが。いや、モンスターを倒しきれる気がしないのだけれども、実際一万以上いそうだし。

 いや、だって、この森自体が、何やらモンスターっぽいしな。

 森の木々はこちらに攻撃をしてくる。その木々の間にはぎっしりとモンスターが敷き詰められている。大体そんな感じの光景。

 それにしても、やっぱりそうだったか。まさか森自体がモンスターとは思わなかったがな。

 俺と麻理がこの国に来た時、この国の周りをぐるりと一周したのだが、森は俺と麻理が抜けてきたあそこしかなかったはずなのだ、なぜか、その反対側である場所にも会ったのだ。盗賊団はおそらく、新たな住処でも見つけたと入ったところ森に襲われたのだろう。


「さてと、やっかいだな」


 飛んできた短剣を素手で打ち払いそちらの方に魔法を打ち込む。

 せめて、敵対するのくらいはやめてほしいのだがな、盗賊団。森全てを焼き払おうにも、透がいるし、透を転移させるにも、そんな隙があるかどうか。


「仕方ないか」

「うむ」


「炎皇……ましこ、解放」

「来いっ、イフリート!」


 俺達は、炎を召喚し、一帯を焼いた。とりあえずは、木々の攻撃からは避けられるスポットを作ったと言った所。


「おいおい、そろそろ俺も名前で呼んでくれよ」

「わりぃな、イフリートの方が呼びやすいんでな」

「まぁ、今はそんなこと言ってる場合でもないか」

「ああ、いくぜ」


 押し迫るモンスターを焼き進む。

 盗賊は悪いが、殺させてもらう。生かしてもあまりいことはないだろうし、そもそもこの量のモンスターの中、気にしていられない。

 炎魔法で焼く。イフリートが火を放ったり、その炎の体で攻撃して焼く。透が、その剣から炎を打ち放し焼く。

 しかし、なんだ、やっぱ数がヤバいな。盗賊団はとうに全滅。結構な時間戦っているとは思うが、まだまだ森の先が見えない。後ろは、焼野原、その先にビート王国。前にはモンターの森。いや、これは、やはり倒しきってしまうしかないだろう。


「透、一気に決めよう。盗賊っぽい奴らはもういないし、大技で前方一帯を焼き払おう」


「もし人がいたら……と言いたいが、いたとして、助かりはしないだろうな、この森じゃ」


「そう言うことだ」


 イフリートに魔力を回す、それと同時に俺の手にも魔力を回す。

 透は、炎皇を一旦鞘に戻し、抜刀の構え。その沙耶の周りには魔力が渦巻く。


「はっ!」

「おらぁ!」

「喰らえっ!」


 炎が森を焼く。焼き払う。しかし、木々が次々と壁となって、炎を減衰させているせいか、その他のモンスターはぶじなのか、次々と現れる。それにもう一つ厄介なのが大量のシールドフライか。こいつも、炎を減衰させている。


「ちっ……思いのほか無事だな」


「そのようじゃな」


 木々全部は焼けたようだが、大量のシールドフライの死体が転がっただけで、そのほかのモンスターはほぼ無事らしいな。馬鹿でかい狼やらイノシシやらがわらわら出て来る。それに、またドラゴンかよ……安売りしすぎじゃないか?


 安売りし過ぎってのは、もう分かっていたことだがな。きっとこの森を用意したのはまたどうせ奴だろう。


 鷸。


 俺の知っている奴でこんなもの用意できるのは奴くらいだ。それに、今背にしている国は既に敵の物となっている。ならば、これを用意するってのも出来るだろう。これが何のために作られた森かは知らんが、壊しておいて損はないだろう。

 いや、あるのだろうが、ここまでやった以上完全に壊そうが、中途半端に壊そうが、そのデメリットに差異はない。このままやりきってしまおう。


 さて、サックリ倒すか。


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