182話・私は戦う。
更新物凄く遅くなっててすいません。
まだ、現状では更新速度は遅いままかもしれません。すいません。
―レフィ=パーバド―
「143小隊の君たちには、これから仕事だ」
143小隊は、私、フォート、バリュールのこの前の3人小隊にM・D・Bを加えた4人1組の小隊である
「えっと、仕事って言うのは一体なんですか?」
「簡単さ、ちょっとした小競り合いのような物だ、ある国に向かってもらいたい。着けば何をするべきかすぐ分かるさ」
轆轤という男はただそう言って、こちらに背を向けてしまった。
「分かりました」
バリュールがそう言って部屋の外へ出たので、私達もそれを追って出た。
「それでどこへ向かえばいいのさ、バリュール」
M・D・Bが尋ねる。どこへ向かえばいいか書いてある指令書はバリュールが持っている。
「そうですね……ビート王国」
ビート王国。ここのデータベースで見た事はある。軍事に力を入れている国だったはず。それくらいしか覚えていないけれど。
あと一つ、その国で覚えている事と言えば。
危険国家指定・討滅対象。
その国に向かわせるということは、基本的にやる事なんか二つしかない。
その国の内情視察か、それとも戦闘か。だが、小隊で動くということは、恐らく……そう、後者の方だ。
戦闘の準備をして、その国に向かうことにした。
そこそこ遠い所にあるらしいその国までは、最近作られたワープ装置を使っていく。
このワープ装置は、魔法と科学の融合によって完成した代物らしい。息はこの装置を使い飛んで行く。ただ、帰りは自分の足で帰ってくる必要があるらしいので、その辺りを考えると少々面倒な気がするが、それ以前に、これから向かう先でやるであろうこともそうとう気が滅入る。結局のところ、あまりやりたいような任務では無い。でも、やらなければいけないと思う。そうでなければ、ここに馴染むことは出来ない。
それが、誰かを悲しませることになったとしても、私は、そう何人もの人の事を考えることなんて出来はしない。
考えられるのは、曹駛ともう一度会って、今度は……ちゃんと……
「それでは転送します」
装置を操作している人がそう言う
瞬間、世界は虹色の光に包まれた。
曹駛の使う転移魔法は、白い光に包まれるのに対し、こちらの装置では虹色の光に包まれるらしい。それにどんな違いがあって、どんな意味があるかなんてわからないけど、ただ、最初に見た曹駛の戦っている姿を思い出した。
修練場に向かって行ったドラゴンを見て、そしたら、今はブレスレットとなっている首輪が外れて、それで、何か嫌な予感がして、そっちのほうに向かったらさっき飛んでいたドラゴンが倒れていて、曹駛が兵士の人と争ってて、よく分からなかったけど、ただ、何か不安になって……まぁ、今思うと、死ぬほど恥ずかしい姿を曹駛に見せてしまったと思う。だけど、あれはあれで……いや、ないか。
なんて、考えていると、視界は虹から解放されて、目の前には決して慣れるはずのない赤と橙の世界が広がっていた。
こんなに風景慣れてはいけないし、なにより、この風景は私の運命を捻じ曲げ、人生をおかしくした光景に過ぎない。でも、おかしいと言われようとなんと言われようと、あれは、もう一度曹駛と会う切っ掛けとなったことに違いはないだろう。いや、いいことでは無いのは分かっているし、曹駛があの時にしたことが100%正しい行動かと言われれば損は図ない事も分かっている。だけれども、あの行動が間違っていたとは思わないし、100%せんと間違っているとは絶対に言えない。
熱気に呑まれる。
暑い。けれど、それだけだ。彼らと特別何か縁がある訳でもない。
不幸だったとは思うけど、恨むなら、半分くらいは自分の国を恨むといいと思う。
「なっ、また、唐突に人がっ!」
一人の兵らしき男がこちらに向かって来た。
「……」
練習がてら、普段とは違う行動をする。
魔法で撃退するのも殺すのも簡単だけど、それじゃ、新しい技術が身に付かない。
私は、黒い銃を手にしていた。
大きさは持ち手が手に収まるくらい。
それはハンドガンという分類に入る銃だ。
破裂音。
目の前の男は、気付くことなく、走っている途中で崩れ落ちた。
「な……が……」
どうやらつらそうだ、私は、そこから一歩も動くとなく、その場で照準を定め、引き金を引いた。
再び破裂音が鳴る時、その男は絶命した。
「おう、おう、おう、銃の扱いも上手くなったじゃねぇか」
そう言うのは、M・D・B。
「いや、魔法以外でも中距離で戦えるし、槍より出が早く、飛距離も長い。獣も捨てた物じゃねぇだろ」
なにやら、楽しそうにM・D・Bがそう言う。
「ええ」
対し、私はただそう答えた。
そう時間が掛かることでもなかったし、そもそも、私達が来た時点で、ほぼ戦闘は終了していた。
私が銃で男の頭を吹き飛ばしたあたりで、この国の王城は轟音を立てて崩れ落ちた。
残った仕事は残党狩りだけだ。
残党といっても、兵はほとんどいない。
正確に残った仕事を説明するなら、生き残った人たちの虐殺。
隠れている人や逃げ惑う人たちを殺すだけ。
銃の練習をしつつ。魔法の練習をした。
頭を打ち抜く練習。
首を断ち切る練習。
私が、こんなことをするなんて、私すら思っていなかったことだ。
人を殺す練習を普通にするなんて、気でも狂ってしまったのだろうか。
まるで作業のように感じた。いや、作業のように思っていなかったらこんなことやってはいられない。
そう、それこそ気が狂ってしまいそうだ。
ほどなくして、虐殺も終わり。
私たちは帰還することとなった。




