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俺、元兵士、奴隷買いました。  作者: 岩塩龍
第十一章・私は、ここにいる。君は……
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179話・私はパーティを組む。

遅くなってすいません。次の更新も遅くなったらすいません。出来るだけ頑張ります。

 ―レフィ=パーバド―


「今日は君たちに小隊を組んでもらう」


 目の前の男がそう言った。

 私の右隣には細身で長身の男性が、左隣には華奢な褐色肌の少女がいた。

 名前は知っている。男性の方がフォートで、女性の方がバリュール。二人とも特異能力を持っている。

 二人の能力は知らないが、能力を持っているということは、少なくとも私よりも強いのだろう。


「それでは、さっそくやってもらいたいことがある」




 私たちは、今、拠点を離れ、その北にある森にいた。


「目的はドラゴンを倒せだっけ? 鷸がいれば、倒す必要すらないくらいなんだがな、あいつは各地をまわっているからな、あまり拠点にはいられねぇんだよな」


 確かに、陽々がいれば、倒す必要すらなくなる。だけどもフォートの言うとおり、陽々はモンスターなどを調べたりするため、各地を飛び回っている。物理的にも。


「今回は中型のドラゴン一体という簡単なもので助かるが、強力なモンスターの群れが訪れたとなると、基本的に鷸が来るまでの時間稼ぎが任務になるからな。まぁ、そんなことは今まで一回しかないんだがな」


 中型のドラゴンを簡単というのもなかなかのものではあるけど、強いモンスターの大群を何とかできるのが凄い。普通ならよほど大きな国でもないかぎり、土地を放棄して逃げ出すレベルだ。大きな国なら、そう言うモンスターの大群対策の一つや二つは取っているから、大丈夫なんだけど。


「さてと、さっそく、発見」


 運良くか、悪くか。早くもドラゴンを見つけた。

 いや、この二人がいるならば、運がいいと言えるのかもしれない。早く任務が終わるって意味で。

 人間の何倍もの巨体を持つドラゴンはにらみを利かせるが、今更この場に怖がるものもいない。


「いくぞ」


 そう言って、フォートがドラゴンに向かって走り出した。

 ドラゴンが叫ぶ。耳が割れそうになる。だが、それだけでは無かった。

 音波の洪水に紛れて、火球という瓦礫が飛んでくる。フォートは並の進行方向に逆らって、前に進みつつ、それらを交わしているが。あまりの振動で私とバリュールは動けない。このままでは火球と直撃してしまう。

 私が魔法を唱えようとしたところ。その振動は急激に弱まり。それどころか、火球さえも飛んでこなかった。

 気づけば、煌びやかな宝石の中にいた。

 私は何もしてない。となれば、これをしたのは、フォートかバリュールのどちらかだろう。だが、フォートはこちらに振り向きさえしていない。つまりは、これを成したのは、バリュールということになる。

 もしも異様なまでに大きな宝石をくり貫いて家を作ったらこうなるのだろうか。そう思っているうちに、宝石は形を変え、巨大な槍となった。そして、それは飛んで行き、ドラゴンの尾を地面に繋ぎ止めた。


「まずは一発目」


 ドラゴンが自分の尾に気を取られている隙に、フォートはドラゴンを殴りつけた。

 その細身の体のどこにそれほどの力が秘められているのか。ドラゴンは木々をなぎ倒し、自らの尻尾が引きちぎれながらも、はるか後方まで飛んで行った。


「追撃するぞ」


 そう言って、フォートは前進する。

 それに続いて、私とバリュールも駆け出した。


 ドラゴンは呼吸を荒くしながらも、立っていた。

 流石はドラゴンと言うべきだろうか。そのような状態でも立っていられるとは。


「流石に一発じゃ仕留められないか」


 フォートはそう言うが、どう見ても致命傷だ。あと少し放置するだけでもきっとこのドラゴンは絶命するだろう。


「さてと、じゃあ、仕留めるとするか」


 フォートはそう言うと、飛び跳ねて、その拳をドラゴンの脳天に叩きこんだ。

 ドラゴンの頭ははじけ飛び、その場にはいろいろと飛び散った。本当に色々と。


「おっと、悪いな、パーバド。今回はお前のお仕事なしだ」


 ドラゴンまみれのフォートが、こちらの元へと戻りつつそんなことを言うが。やはり、この二人は強い。今回はほとんどフォートが倒したようなものだが、宝石を精製、変化させたバリュールの力も未知数だ。

 私が普通に戦っても、どのくらい戦力差があるか分かったものではない。

 そう、普通に戦っても。


「まぁ、でも聞くに、パーバドは、俺らみたいに洞窟の力無しで戦闘部隊に入れたんだろ。流石はエルフだよな、それほど魔法が凄いって事だろ」

「そうですね、私もそう思います。フォートさんはともかく、私は能力有ってこそみたいなところがありますし、私自身の戦闘能力は並以下ですし」


 二人はそう言うが、その力を目にした以上、お世辞にしか聞こえない。

 その二人の力は、どちらも強力だった。

 その二人を越えた力は……あの時。メアリーの屋敷が襲撃されたあの時、私が行使していた力。あれなら、超えることが出来るかもしれない。

 だけど、あの力は、命を対価にして使う物だろう。ならば、それを本当に使えるか。私にもう一度使うことが出来るのか。あれは、メアリーの力だって加わっていたはず。保証はない。だけども、もう一度使えるのなら、そのタイミングは絶対に待ちあえることは出来ない。


「そんなことはないわ。私の力なんて、それこそ魔法だけだし。正直な話二人の方が私の何倍も強いわ」


 今は、嘘を着くこともなく。私はそう言った。


 だけども、この二人と戦う日が来るなんてことは考えないようにしたい。

 だって、この二人だって、別に悪い人に見えはしない。と言うより、ロージフォックで悪い人だと思えるほうが少なかった。たすかに、いるにはいるけれど、それは仕方のないくらいで、どこの人の集団においても存在するくらいの割合であった。


 どうにかしたいとは思った。

 どうにかして、なんとかしたい。

 何をどうするかも、どうすればいいかも、全く分からないけれど。

 ただ、もやもやした。


 このもやもやは、人たちのすれ違いを見ているからだろうか。

 でも、分からない何かを、分からないが何とかしたいと思った。


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