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俺、元兵士、奴隷買いました。  作者: 岩塩龍
第七章・おいこれ・貴様は何処へ行く。
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116話・これこそ、勝利の方程式。

 ―木尾杯人―


「……と、言ったのはいいものの……どうするのさ」

「ああ、まぁ、連携云々じゃなくて、そのまま戦う……というだけだが、なにか」


 焔邪はそう言う……なんだそりゃ、その微妙に適当なあたりは主人そっくりだな。そういや、曹駛も似たような感じだったような気がするなー、と思った。


「……じゃあ、やるか……」


 ツコッミでも入れてやろうとしたものの、別の案が有る訳でもないので、そのままいうことを聞くことにした。

 それにしても、随分と奇抜というか、おどろおどろしい見た目の装備だな、これ……格好いいには、格好いいんだが……まぁ、いっか、格好いいんだし。


「おっしゃ、行くぜッ!」


 感覚で分かる、これは、行けるぞっ!

 右腕を引いて、ストレートパンチを繰り出す。そして、放たれたのは、突風大砲。これは、すげぇぜ。パンチをする感覚でこの強力な技が打てるのか。なんというか、やっと俺もチート集団の仲間入りした気分だ。


「行くぜ行くぜ行くぜッ! おらおらおらぁ!」


 右、左、右、左と、ボクシングのコンビネーションのように次々パンチを放つ。正確には、パンチではなく、俺の持つ技の中でも強力な突風大砲という技、今のところ全部転移で躱されているが、躱しているということは受けたら不味いということだろう……ならっ、打ち続けるッ!

 風の砲弾が、次々と地面を抉っていく。しかし、一発たりともあの曹駛には掠りすらしない。だが、これなら……

俺は、両手を同時に突きだした。


「暴風大砲ッ!」


 両腕だから2倍なんてちゃちなもんじゃないぜ、その何倍もでかい最強の一撃だ。


 放たれた暴風大砲は、目の前にあるものを全てぶっ壊し、地面を抉りながら高速で全貌に進む、破壊の風。これを受け止めなきゃ、お前の妹がやられるぜ、さぁ……止めてみなッ!


「……」


 俺の思った通り、奴は動かない。これを受け止めざるを得ない。避けたところで、お前の妹に直撃して死んじまったら、お前も死ぬからな。


「……」


 さあ、喰らえッ、そして、飛び散れッ!


 ガァアアアアアアアアアアアアアアギュウウウウウッ!


 轟音を立てて……俺の攻撃は跡形もなく消え去った……は?

 ちょ、直撃したはずじゃ……ないのか……? じゃなければ、今の音は……一体!?


「き、消えたように見えたが……」

「奇遇だな、俺もそう見えた」

「な、ならば、これでどうだ……焔邪、ましこ、力を貸せ、ユクゾッ! フレイムボールッ!」


 今度は、透が、小さな建物だったら呑み込めるほどの巨大な火炎球を放った……だが、それもまた、消えてしまった……曹駛に辿り着く前に。


「ほ、本当にどういうことだ、あれじゃ、倒す手段が無いじゃないか」

「近距離線をしようにも、原理が分からない以上無暗に近づくのも、危険だからの……まずは、あの技の解明からだろう」

「それは、そうかもしれんが……どうする、さっきのような強力な中遠距離の技を何度も攻撃する隙を与えないくらい放ち、そのうちに、どんな技か見極める……で、いいか?」

「……それ以外に手が無いからの、反論の余地が無い……」


 俺達は、先ほど以上に、汗を額に滲ませた。


「が、合体技とかも試してみるか? 火炎地獄……いや、その強化版。極炎地獄とでも名付けようか。それを、やってみようぜ」

「……そうだな、広範囲攻撃ならば、もしかしたらもしかするやもしれん」

「よし、決まりだ」


 俺は、暴風を発生させた。その勢いは思っていた以上に強かった……発動している俺自身、揺らめいたくらいだ、見ればその辺に落ちている、石や鉄くずなども飛び交ってる。あぶねぇ。冗談じゃなくマジであぶねぇ。超高速で飛び交う金属や石なんて、当たっただけで大けがじゃねぇか。

 そんな暴風に合わせるように、透もまた超巨大な火炎球を発生させた。


「数秒間、息を止めろ……肺が焼けただれるぞ!」


 そう言った透は、火炎球を爆裂させた。

 風に乗り辺り一面を焼く炎はただの炎ではないようだ。あの炎は特別性らしく、この暴風の中でも全く消える様子もない。むしろ、更に風に乗って広がっていく。名の通り、まるで地獄のような光景だった。まぁ、やったの俺達だが。

 というか、結構生き止めてるけど、いつまで止めていればいいのだろうか……熱いのもあって、そろそろ息が限界なのだが……

 俺は、透にジェスチャーで、そろそろ息吸ってもいいか? と尋ねてみるものの、どうやら伝わっていない様子で、呼吸は出来なかった。……いや、待って、やっぱきついんだけど。

 もう一度、ジェスチャーを試みる……駄目だ、伝わっていない。というか、そもそも、こっちを見ていない。

 いや、良く考えろ、息は吸えないが、吐くだけなら、大丈夫なんじゃないか? なら、一言くらいなら喋られるんじゃないか? よし、それで行こう。


「透、息吸ってもいいか?」

「………」


 対して、無言の透……なんか喋れよ。などと思っていると、焔邪が口(?)を開いた(?)


「まぁ、もう少しだけまて、現状この炎を消すことも出来るが、それでは、相手がどのような技を使ったか分からないのでな。相手が行動するまで待て」


 ぬな、待てと言われても……俺は、この剣も行使している以上、息が上がってもおかしくないのだが……それも考慮してほしいんだが。まぁ、でも、これ以上吐くわけにもいかないし、仕方ない、もう少し耐えよう。


 ガァアアアアアアアアアアアアアアギュウウウウウッ!


 轟音が、鳴り響いた。

 みるみるうちに……風が止んでいく……炎が消えていく……その中心にいるのは、曹駛だ……その技は、一体なんだ?


「ふむ、もう息を吸ってもよい」

「ああ、あれは、厄介だな……」

「な、なんだ? あいつは何をしたって言うんだ?」


 どうやら、焔邪と透はもう、分かったようだ。あの協力過ぎる技が何なのかを。


「いったいなんなんだ、ありゃあ」

「あれか……あれは、恐らく、次元転移の魔法を元に作った、魔法じゃろう」

「それで、一旦俺たちの技を吸い取るようにかき消した」


 二人の声音は随分と焦ったものとなっていた。


「「そして」」

「な、なんだ?」

「あいつは」「その吸い取った技を」


「「撃ちかえしてくる」」


 二人は、そう言った。そして、次の瞬間、俺達は破壊の風に呑まれ吹き飛ばされた。


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