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俺、元兵士、奴隷買いました。  作者: 岩塩龍
第七章・おいこれ・貴様は何処へ行く。
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115話・こんのっ、チート兄妹がっ!

 ―木尾杯人―


「あなたも気付いたようで。そのとおり、この騎士のモデルはお兄様ですわ。本物には及びませんが……本物の八割くらいの強さはもっております。どうか、気を付けて戦ってください」


 ()()()()()()そこにあった、4メートルは有ろうかという四角いレンガ造りの白い建物の上に、()()()()()()用意されていた、王座のような椅子に座っていた曹駛の妹は、腕を振り降ろし俺達を指差した。瞬間、曹駛モデルの人形兵がこちらへ飛びかかってきた。

 早い……先ほどの奴らも最後にはなかなかのものになっていたが、比べ物にならない。


「カマイタチ」


 またしても成長した、この剣は一振りで、大量の空気の刃をつくり出せるようで、十数個もの空気の刃が相手を目掛け飛んでいく……が、お返しと言わんばかりに相手も空気の刃を()()で放ち、相殺してきた。

 やはり、魔法は使えるのか……くっそ、俺だって使えねぇってのに。

 曹駛の8割か……ほぼ本物だろうが、それ……


「くそがっ、ぬおおおおおおおおお、突風大砲!」

「……」


 今の俺の最大火力、喰らってみやがれ……って、なんだその馬鹿でかいエネルギー球は……

 俺の全力は、あっさりと破られた。その上、相殺しきれずにこちらに飛んできたエネルギー球の爆裂による爆風を躱しきれずに、左足に怪我を追ってしまった。


「ぬっ……」


 ま、不味いな、透も足をやられたようだ……二人とも機動力を失った……か……

 土塊の騎士が、地に降り立った。この威圧感……偽物であっても、格上だっていうのかよ。勘弁してくれよな……


「フレイムボール」


 炎の球が曹駛モドキを狙って進んでいく。


「……」


 だが、曹駛モドキは無言で、同じ炎の球を放ち、相殺させそれを塞いだ。だけじゃない……

 曹駛は、目の前から消えていた……


「う、上かっ……」


 透が、そう言った。俺は上を見たが……だが、あるのは、10メートル先の天井のみ……


「上には、いないぞ」

「ち、違う……そんな下ではない、もっと上だ。そう、儂らからでは見えないほどのな……」

「つ、つまり……」

「そうだ、空だ……」


 その台詞と共に、曹駛は天井を突き破って、俺達の真上から降ってきた。

 まるで……隕石だった……

 俺達は、すぐさまその場から離れようとした。だが、隕石は目に入ってからよけようとしても、もう遅い。


「ぐっ……」

「ぬぅ……」

「……」


 俺達は、直撃を何とか避けたものの、その一撃ではじけ飛んだ地面を数発ずつ受けてしまう。


「くっそ」

「やはり、強いの……」

「……」


 俺達は、多大なダメージを負ったが、だが、相手も空気摩擦と衝撃で片手、両足を、失ったようだ。これなら……なんて、上手くいくわきゃねぇよな。

 曹駛は、残った方の腕を地面に付けた。そして、瞬時に壊れた箇所が復活した。

 なるほどな……戦って分かったぜ……あいつは、曹駛だ。紛れもない曹駛だ。俺が目指したあいつがあそこにいる。だから、倒さなければ……だから、膝ついている場合じゃねぇ!


「ぬおおおおおおおおおおっ!」


 気力で立ち上がった。いけるぜ、俺は、俺だって、ピンチになるほど強くなるッ!


「あああああああああああああああああっ!」


 更に、更に、この剣は成長する、俺も成長する。この剣も俺も生きている。どちらも、曹駛の力によるものかもしれないが、それでも生きている。

 この剣は、曹駛が作った。

 この俺は、曹駛に生かされた。

 そして、俺達が、曹駛を倒す。そして、言ってやる。


「超えたってよ……」


 頭に入ってくる。なんだ、これは……この剣の事、この剣の本当の力を、この剣の想いを……この剣が俺を認めたって事を……っ!


「行ける、行けるぞっ、今度こそ行ける……」


 武器は、使う物でも使われるものでもねぇ。一緒に、戦うものだ。

 お互い高め合い、お互い協力して、相手を倒す仲間、それが武器だ……言うなれば、一種の運命共同体ってやつだ。


「いくぜ……武具融合……」


 俺の手にあるバスタード・ソードが光り出した。

 手に巻き付いてくる、蔦のような物。それは、爪。胴を覆うように被さってくる殻のような物。それは牙。

 な、なんだこれは……よ、よく分からねぇけど、なんかかっちょいいんじゃねえか? 融合前のようなど迫力はねぇけど、これはこれでいいだろ。


「ふむ、なるほどな……」


 急に、炎が喋り出した。


「うわっ、びっくりした、急に喋るなよ……えっと、焔邪だっけ?」

「ああ、驚かせたか、すまない。だが、分かった」


 分かった?


「何が分かったって言うんじゃ」

「ああ、それか……まぁ、いうなら、あの曹駛の人形を倒す方法をだ」

「な、なんだって」「なんじゃと……」


 曹駛を倒す? そんな手があるのか?


「まぁ、聞け。あの曹駛の人形は、本物の八割と言ったな」

「ああ、そうだな」

「おそらく、それは、本当だろう」

「やはりか……曹駛と長くいたお前言うことじゃから、本当なのだろうな」

「ああ、そうだ、だが、あれは、あくまで曹駛本体の力の内の8割だ」


 曹駛本体の……ああ、なるほど、そう言うことか……


「あの曹駛の人形は本物とは違い、俺達精霊が付いていない、そのうえ、武具融合も出来ないようだな」


 武具融合できないって、本物は出来んのかよ……畜生、まだやっぱ超えれてねぇのかよ。せっかく勝ったと思ったのに。


「まぁ、ここまで言えばわかるだろう、そこを突くぞ」


 まぁ、そうだな、せめて、あいつくらいは倒してやるぜ。本物は、また今度だ。

 さて、行くぜ……なんだっけ、えーと……あの……そうだ、そうそう……


「さて、行くぜ、第二回戦の始まりだっ!」


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